第19回 知床岬の突端へは?
突然ですが、この動画をご覧ください。
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2008kita03 [方法]
ついに来た。いつの頃からこの地をあこがれていた。
まさに「最果ての地」。知床岬の突端。
その一歩手前に俺はいま自転車をこいでたどり着いた。
その記念すべき写真。
こんな熱い看板を私は見たことがない。
最北端の看板は「キケン 道なし!」」なのだ。
実はこの地には旅人が一杯いるとおもっていた。
なんと言っても世界遺産の知床岬である。
そして最果ての地である。それなりに、ライダーなり、チャリダーなり、団体様なりがいると思っていた。
が、見渡す灰色の空気の中には誰もいないのだ。
いるのはチャリにまたがった俺一人。
みんな、夏ですよ、旅の季節ですよ、そしてここは北海道の先っぽですよ。
どうして誰もいないんですか・・・?
贅沢は言わない。水着を着た美女が海で泳いでいるだけでもよかった。
しかし見えるのは海鳥たちだけであり、美女にほどとおかった。
しょうがないから自分一人で写真を撮った。
今でもこの灰色の空気に包まれた写真を見ると、物悲しい気持ちになる。
とはいえここは何度も言うが、最果てである。冒険心くすぐる地である。
俺のような勇敢な青年が自分の力を試す場である。
あとはここから先へと道なき道を歩んでいくのだ。
さあ、行くぞ!突端への道を探そうとしたとき、図らずもこんな店が見えた。
食堂である。ちょうど腹が減っていた。ここで飯を食ってから突撃することにしよう。
けっしてびびったからでも淋しかったからでもない。純粋に腹が減ったので、俺はこの店の中に入った。
中に入ってメニューを見て驚いた。
トド焼きに鹿に熊である。
「兄ちゃん、どれする?」いかにもな海の男らしいおっちゃんがやってきた。
怖いからそんなに近づかないでください。おっちゃんでかいんやもん。
店のドアが開いた。すると俺は夢でも見ているのではないだろうか。
リュックを背負った若いお姉さんが二人入ってきた。こんな最果てにも女性の旅人が来るのだ。
しかも俺のほうを見て軽く会釈をすると、これまた夢を見ているのではないだろうか、俺のテーブルにやってきてこういった。
「表のかっこいい自転車に乗ってる人ですよね。」
「そうですよ。」クールに決めているが「かっこいい自転車」といわれて半分鼻の下が伸びていた。
「うわあ、ここまで自転車で来るってすごいなっていってたんです。
思ったとおりたくましい感じの人ですね。」
たくましい!?
たくましい!?
たくましい!?
しつこいかもしれないがもう一度。
たくましい!?
人生ではじめて言われた。
ずっと「しょぼい」とか
「ちっこい」とか
「貧弱」とか
「虚弱」とか
「ポキッと折れそう」って言われて今日まで来た。
でも、この最果ての地でついに言われた。
たくましい、と。
俺の時代が来たと確信した。
自信満々で続く
(このあとどうなったか?)
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