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インドへ、そしてマザー・テレサへの道
第24回 ついたぞ、バラナシ 編
まだまだ列車は走っている。
いつバラナシにつくのだろう。
窓の外はいつの間にか太陽が私たちを先回りし、すでに空の上に上りきっていた。
そこから見える景色は今までのインドではなかった。
コルカタの混沌はそこにはなかった。不思議と懐かしさを覚える田園風景が広がっている。
窓の外はこうして優雅な状態だったが、車内はやっぱりインドだった。
この男の子、おそらくは5歳くらいだろう。彼は床を雑巾でふいていた。はいつくばって。
どうしてこうなるのだろう。5歳だぞ、5歳。
彼は物心ついたころからこうして生きてきたのだろうか?
ずず黒くなったシャツで、裸足で、素手で私たちが汚した床をふいている彼を見て、インドでのルールに例外を作った。
これまでいくら乞われようとも渡さなかったお金を彼には渡してしまった。
近くに来た彼は手を差し出してきた。何万人にもしてきただろうその動作。
ポケットにあった5ルピー硬貨を手渡した。
短い単語を彼は言った。おそらくは「ありがとう」みたいなことだろうとおもうが聞き取れなかった。
私が渡した10円ほどの価値を握り締めたまま、彼はすぐに駅に降りてどこかへ行った。
おそらくは食べ物を買いに行ったのではないかと思う。
普通の施しなら1ルピーほどである。相場の5倍を渡したことで他の子ども達がどっと押し寄せるのではないかと心配したが、誰も来なかった。
今でも彼が私に何を言ったのかが気になるのだ。二度と会えないからこそ。
再び走り出した列車の窓の外は、さらに田園風景を濃くしていた。
不意に川が見えた。
もしかして、これが・・・・・、ガンジス川?
「Yes,this is Ganges.」同行しているガイドのPさんが教えてくれた。
来たやんけ!
これがあの、ガンジス川!
Ganges !
गंगा!
よーし!やるでー!!!
私はある計画を図りしめていた。
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