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インドへ、そしてマザー・テレサへの道

                  第23回
   俺の「深夜特急」 編
  

繰り返すがこの列車の旅、私以外は皆さん女子学生である。
女子学生というのは分かりやすく言うと、二十歳前後の方であり、なおかつ女性である。
つまり俺とは正反対なのだ。つまりすばらしい存在である。




だからゴキおなんかに負けていられない。
毅然と振舞う必要があった、男として。そして、人として。




だからここで繰り広げられた女子学生と私の会話を、漏れなく再現しよう。
けっして自慢などではない。ふっふっふー。




「うわ、気持ち悪い。こんなところで寝られるわけない。嫌ー。」

「大丈夫、ここはインドやしそれも受け入れないと。(←堂々とした声を想像のこと)」

「でも耐えられないよ。(←弱弱しい声)

「わかった。我慢できなかったら夜中でも言ってよ。なんとか退治してあげるから。(←きっぱり!)」


「本当に?」

「はいはい、本当、本当。







・・・・・・・・・・・ピースケって男やのにほんまに、なんというか・・。」




こうして俺は女子学生に守られて

ゴキくんの生息する寝台にようやく座る。

いやだー。気持ち悪いよー、僕。

←私の保護者の皆さま



そして・・・

←保護されている男性様。



ちなみにインドの寝台車は三段式となっている。その一番上。




列車は走り出した。




明日早朝につく予定だ。
ガンジス川で泳ぐためには体力が必要だ。もう寝よう。











寝られまへん!




ゴキブリがこわい?
それもないことはないが、興奮してるんっす。


インドでも、もっとも危険といわれる交通機関

を使い、

その中でも、もっとも犯罪の多いといわれている路線

を夜行で進んでいるのだ。


それは不安を感じるのではなく、自分がその境遇にいるというこの衝撃。
怖いけどあまりに面白い。おとなしく寝ろというほうが無理である。

だから、列車が駅に着くたびに、思わずホームに下りてしまう。




ちなみに右に移っているコンクリートの壁は簡易トイレ。
猛烈な臭気が漂ってくくる。

インドの長距離列車に時刻表はあって無きの如し。
まったく無関係に動いている気がしてしょうがないのだ。
出発時刻を過ぎてもまったく動く気配がない。
私は一人ホームで、インドの深夜のどことも知らぬ空気を感じ続けた。







寒い!



天井のすぐそばに寝ているため、クーラーの風がガンガン来る。
インドの鉄道では、このように死ぬほど冷やすことが乗客へのサービスに直結すると固く信じられている。
だがこれでは冷蔵庫である。


支給された毛布は元の色がどれくらいかも分からない。
過去に使用した人たちのいろんなものが染み付いていた。
ベンガルの駅で買ったルンギーを毛布代わりに寝た。
                               ※ルンギーとはインドの男性が腰に巻く衣類。

いろんな悪条件があったが、それでも心の奥底から沸いてきた単語がある。
アジアを旅する者のバイブル、少年時代に読み心を躍らせてきたある本の名前。

「深夜特急」。

まさに俺は「深夜」に走る「特急」に乗っているではないか。
あれほどあこがれた深夜特急の一部を自らのものにできたという満足感に包まれて、
就寝。




気づけば窓の外は明るくなっていた。
なぜかそこから差し込む光は青かった。



列車は絶対に私が名前を知るはずもない田舎町を走っている。

時折駅に停まるがなぜか煙が立ち込めていた。
駅で生活する人の活動なのだろうか?

                   



向かいのホームには、これからどこかへ行く誰かが歩いている。

また今日も俺の新しい冒険が始まる。




     

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