掲示板  日記帳  リンク 更新記録  メール        
     
 
   
インドへ、そしてマザー・テレサへの道

                    第21回
   さらに出会いを 編
  
このサダルストリートはインド有数の安宿街である(らしい)。
特に東洋人がおおい。
日本からやってきたバックパッカーたちはまずはこの通りにやってきて宿を確保する。
そして思い思いの場所を散策するのだ(そうだ)。
さっきから「らしい」とか「そうだ」とかいているのは私の知識ではなく、
MさんやYさんに教えてもらったからである。


だから屋台のメニューも日本語があるのだ。


したがってインドで日本語に飢えたときは、ここへくるとよい(らしいよ)。

事実ビビンバを食べていると、ありゃ??見覚えのある人が。
昨日シスターのお話を一緒に聞いていた富山県のYさんがそのホテルから出てきた。
今日の飛行機で日本に帰るそうな。

この広いインドで幾億人のインド人にまぎれることなく、同じ人に偶然会える面白さを感じていた。

この富山県のYさんと埼玉のバックパッカーYさんは、MARIAに泊まっている。
海外のドミトリーがどんなものかを見たい。てことで見せていただいた。

             
このMARIAは個室とドミトリー両方を持っている。
これがドミトリー。
ベッドがたくさん並び、みんなが同じ部屋で生活をしている。
ホームステイもいいけど、こんなところに泊まるのもいいなあ。
Yさんはここからさらに西へ向かうといっていた。
(今はもうヨーロッパに到達していらっしゃる。)


再びストリートへ。
あ、向こうから一緒にボランティアをしているMさんが来た。

はじめてお会いする日本人と一緒だ。カーリガート(死を待つ人の家)からの帰りだそうな。
彼もやはりこのストリートの安宿に居を構え、インドを旅しているらしい。
愛知県のTさんと。そして道を歩いていた名前を知らない子と。

TさんはPARAGONというホテルに泊まっているそうだ。
迷わず見せていただくためについていく。


少し奥まったところにあるPARAGON。

         
やはりドミトリーと個室が混在している。他にも日本人がいた。
インドにありながら清潔さが保たれていた。
ますますドミトリーに興味がわいた。次、来るときは絶対にここに泊まろうと誓った。
いつになるかは知らない。
お互いの連絡先を交換し、ここでTさんとは別れた。
一瞬の出会いだったが、思い出はとこしえのものであり、心の中では常に新しいのだ。


TさんやYさんと別れたとき、自分の変化にひどく驚いた。
一週間前、私はおびえきり、インドの空気に嫌悪し、ぼったくられまいと自身をガードすることに専念していた。
それがいま。

道を歩く人との出会いに喜び、屋台の食べ物を食べている。


その自分の広がりは私の努力ではなく、

インドの民衆や他の旅人によって

もたらされていることに気づいた。






・・・・・・・・もしかしたら私はそのためにインドへ来たのかもしれない。




屋台のおっちゃんとも、一瞬でとこしえの出会いをもつために写真を撮った。

午後3時からのボランティアに間に合わせるためにまた私はダヤダンへ戻り始めた。



今や歩きなれた路上を進みながら考えた。


みんなそれぞれ別々のきっかけでインドに来たはずだ。

埼玉のYさんは壮大な旅の一ページでここにいる。
神奈川のMさんはダヤダンの子ども達との再会を求めて再びここに来た。
富山のYさんはインドでの経験を日本での仕事に生かすつもりだという。
愛知のTさんはタイとインドを二週間半バックパックで旅する生粋の旅人。


日本にいるときは知らないもの同士だ。それが偶然ここで出会った。
その偶然をかきすてるべく一瞬のもので終わらせるのか、
それともそれぞれを形付ける一助とするのか。
人によって違うだろう。



だが少なくとも私にとって、

かつて宇宙でもっとも邪悪といわれた街での出会いが、

色あせることなく希少な人生史に残る経験として

今も心の大きな位置を占めているのだ




旅での出会いを重く見ない人からすれば、私の考えはあまりに感傷的過ぎるかもしれない。
それでもいい。
旅での価値観は人によって違うし、心の重心を他の人に理解してもらうのは難しい。




その後も、何かに悩んだときは、気づけばコルコタの路上に心は飛んでいっている。
粉塵舞う空気とハエのたかる屋台の食事と、路上を行き交う人を思い出す。
日常の人間関係で狂わされそうなときも、あのときあの場所で旅人に出会った、
そのときの私もまた旅人だった。
死に瀕したといわれた場所での出会いが私を生かしてくれているのだ。


  後日談

埼玉のYさんは今も海外を放浪中。時折メルマガが到着するのでお元気でいらっしゃることがわかる。

神奈川のMさんも秋に帰国。2月にダヤダンの同窓会を企画して半年振りにお会いすることが出来た。

富山のYさんからは私の帰国後、マザーに関する本を送っていただいた。

愛知のTさんともネットを通じて時折連絡をし合っている。

どなたとも、ほんの一瞬しかお会いしていない仲だ。それでも日本に帰ってきてこうして交流が続くことがある。

旅先での出会いは貴重であり不思議だ。

毎日のように会っていても、言葉を交わすことすらない人もいれば、一度会っただけで一生忘れられない人もいる。

私もすれ違った人に忘れられない人になりたいが、さてどうだろうか。



    

インド、そしてマザー・テレサへの道 目次      
掲示板  日記帳  リンク 更新記録  メール    
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送