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インドへ、そしてマザー・テレサへの道
                第4回
   ついにインドに来た・・・
  



グルルルル・・・・・・・・。

犬たちが私に向かってうなっている。
だが運転手は一言「ノープロブレム。」

でた。これなのだ。インドに来た人がおそらくは一日に何度も聞かされる言葉。
全てのトラブルがこれで終わってしまう。

数多の犬の間を運転手がすたすたと歩く。
待って。

路上にいるのは犬だけではない。
おっちゃんが寝ている。ほとんど裸だ。
おばちゃんが寝ている。裸ではないけど。
それに子どもも、赤ちゃんも。
本来ならここで「ああ、インドの貧富の差は・・。」などといった政治経済を学ぶ場面なのだろうけど、このときの私の心には悲しきかな不安感しかなかった。

迷路のような路地を抜けると、これから2週間私を保護してくれるホストファミリーの住むアパートがあった。
時刻はすでに午前3時前。こんな時間に人の家にお邪魔するのは初めてだ。



階段を上がると見るからに思いっきりインドの女性がいた。
お世話になります。


私を部屋に通して、トイレの場所を教えてくれたお母さんはすぐに自室へ戻った。




ううむ・・・。



まだ現実感がない。
ベッドに横になりながら考えた。

            

俺、いまインドにいるんだよな。
天井ではファンが爆音をたてながら回っている。


俺は今、日本から遠く離れた

インド洋のそばにある

インドのコルコタにいる。


ここは広大な


    ユーラシア大陸
なのだ。



                  




さっきまでうごめいていた日本はもう遥か彼方にある。
まだ信じられない。






            



時間は午前4時。少しでも眠らないと・・。
そんな安全を求める頭を無視して、心がさらに回転し始めた。


ついにここへ来た。
インド旅を思いついて一年。
少年期にマザー・テレサの話を誰かに聴かされ、無邪気にもこんな人になりたいと思った。さらに何かのテレビで見たマザーの言葉に驚愕した。

体が腐りかけ、うじまでがわいたおじいさんが路上で今にも死にかけている。

みんなその人を見ないふりをして通り過ぎる。

そこへマザーがやってきて、「死を待つ人の家」に連れていき保護をした。

おじいさんは初めて口をきく。

「みんな私を見て目をそむけるか、唾を吐きかけるかしかしなかった。

それなのにあなたはなぜ私に食事を与えてくれるのですか。

手を握ってくれるのですか。」







マザーはこういった。






「あなたを愛しているからよ。」






私はこれから出会うインドの人を愛せるのだろうか。

ガイドブックを読んで、そのすさまじさにびびりまくった。
だまされたらどうしよう。お腹が痛くなったらどうしよう。
強盗にあったら?


悩みは増幅する。

水が日本人には全く合わない。言葉が通じない。微妙な時差ぼけがある。
ホストファミリーに嫌われたら。道に迷ったら?
あまりの不潔さに発狂したら?

この全てが単なる杞憂かもしれないし、現実のものとなるかもしれない。




時計は午前5時を指していた。
寝なくてはいけないのに、どんどん目がさえる。
体がくたくたに疲れているのに、心が寝ようとしない。

窓の外からカラスの鳴き声がきこえてくる。
インドの人は早起きなのだろうか。人の騒ぎ声までが聞こえてきた。

そしておそらく私のせいで3時間ほどしかねていないであろう、ホストファミリーのお母さんが起きて動き始める音が聞こえてきた。


窓外からは人々が争う声と犬の強烈な声が聞こえてくる。
早朝から争っているのだろうか。鳴いているのだろうか。

なによりカラスの声がすごい。

野良犬とからすが大量に生息する土地の条件は一つである。
生ゴミ。



午前6:45、ドアがあいた。お母さんだ。お茶をもってきてくれた。


これはチャイである。このチャイとビスケットの組み合わせを早朝にいただくスタイルはインドにいる間、かわらぬものとなった。



午後からマザーハウスへ向かう。


路上に出てかたまった。
深夜のインドも強烈だったが、昼間はもっと強烈だった。



道にいる人がみんなホームレスに見えてしまう。もちろん実際はそうではないのだろうが、そう思える様相だった。
なにより車の数。バス、タクシー、そしてオートリクシャーと呼ばれる三輪の車。それらがみんなクラクションを片時もやませることなくならし続けているのだ。


う・・・・・・・・・・この街で2週間生きるのか・・。

2時間で終わりにならないかな?ふと心の一番奥でそんなことを思った。



これがコルコタの路上の映像っす



マザーテレサの本部に着くまで





いろんな光景を見た。





これがインドの普通の姿なのだ。

                              

    インドへの道 目次 

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