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みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
  

                     2005年春編 
 第ニ回


かつては蒼社川をみんな渡っていた。そして今も水の量によっては渡れるはずなのだが、今日はダメだった。せっかくなのでわたってみたかった。
今後ここを歩かれる方は、雨のないときにいくことをお勧めする。





川沿いの道を歩く。いつしか住宅地へと足を踏み入れ、気付けば57番栄福寺の門前へたどり着いた。
1時間以内に札所へつけるというのはとても精神衛生上よろしい。




四国霊場57番札所 つつじの咲き誇る栄楽寺 5月3日午前9時、到着


GWだからだろう、家族連れがたくさんお参りに来ていた。
うん、みんな家族連れだ。俺はもちろん一人だ。
また私の弱気が顔を出している。群生するつつじの花を見ながら孤独を感じるなど不幸なことだ。


でも今は春だ。GWだ。お遍路の季節だ。それなのにどうしてお遍路さんが誰もいないのだろう。

初めての遍路は夏だった。台風が来ていた。

だから誰もいなかった。


冬の遍路は大雪だった。したがって誰もいなかった。

昨年の春は雨だった。もちろん誰も歩いていない。




そして・・・晴天の今年の春。

しかし当然もちろん歩く旅遍路はひとりもいなかった。






「おにいさん、そこの歩きのお兄さん。」
きれいな声が聴こえてきた。
「は、はい。僕のこと?」
駐車場に一人の女性がいらっしゃった。
弁当をお接待してくださるとのこと。
「はい、いただきます。」こう答えた。一瞬戸惑ったけど。
「お弁当のお接待、10000人を目標にやってます。今、1000人少しだけどね。」


この方の最初の言葉にひどく驚いた。
曰く「お弁当をお接待させていただけませんか。」
受ける側の私へこのように謙るこの言葉が今も心から消えない。

今は今治在住だが、実は20年前は私と同じ街に住んでいたSさんの気持ちに癒されながら、札所を後にした。




田舎道を歩いた。



今でもその光景を思い浮かべると体が熱くなる。
なんでもないんだけど、心が高揚するような景色。



轍をたどりながら進む。むこうに見える建物はなんだろう。

そして鋭角に曲がるとそこには天空に吸い込まれるような景色があった。
                 

これなのだ。たとえ同行者が誰もいなくとも、長いへんろ道の中にはどうしようもなく大好きになる、そして歩く者の心を話さない景色があるのだ。
私は1200キロの遍路道の中でこの数メートルが一番好きである。


数メートルの坂道を精一杯愛しながら私は歩いた。

あ、あそこで終わるのか。
登り終えたらそこにはこんなものが・・。

湖の面にはわずかなさざめきが起きているが、私の体は風を感じない。
遥か向こうの森から鳥の鳴き声が聞こえる。生きるものの証を感じている。
この空間に身をおけたことを今は素直に感謝している。




そう思ったとき、




すべての孤独もまた


遍路行程の一つだと感じ始めた。



遍路を始めて2年、

ようやく寂しさを

受け入れることができたのだ。


少しだけど・・・。





おや、湖面にボートが浮いている。いかにもの美しい光景だ。

ん?
おカップルやんけ。
美しくない!

い、いや、ここで心を替えるのだ。全ての人の幸せを祈ろう。
どうぞお幸せに・・・・・・・。


なにを悪戦苦闘してるのだろう、俺は。





やがて国道へ出た。みんなガンガン車で俺を追い抜く。バイバイ。

2.7キロで次の札所だ。仁王門からうだうだうだうだと階段がつづく。もちろん登りだ。


                 


いいなあ・・。俺もあんな風にしたかった。
58番について喘ぎながらお参りをする私の前に、またまた心を癒してくれる光景があった。

GWにお遍路をしている男の子に癒された。
さっきの緑豊かな坂道もよかったけど、これもいいなあ。


やっぱりおれ、人間大好きや。


淋しがっているはずなのに、いろんな人に癒されてる・・・。


                                     
                                 

             


                          

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