みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
2004年冬編 第3回
ガタガタガタガタ・・・・・・・・・・。
揺れてる。
建物が揺れてる?
地震か?
ちゃうな。これは建物を揺らしている人たちがいる。おそらくは階下の宴会場の人たち。こんな夜中に。
今何時か、知りたくもない。
朝目覚めたとき、真っ暗だった。時間は6時。
まだ夜じゃないか。これでは。
これが、また面白い。普段は泥のように寝ているが、旅なら心躍らせて布団から出られる。
あの暗い空の向こうに誰かが待っていると思うと。
でも宿の人は約束どおり6時半には朝食を用意していてくれた。
出掛けに、宿のおばさんが私のためにおにぎりを手渡してくれた。
これで何度目のおにぎりお接待だろう。
まことに奇妙な結びつけなのだが、今ではおにぎりを見るとへんろ道が浮かぶようになってしまった。
さらにおかしな発想なのだが、遍路道にはサンドイッチではなく、おにぎりが似合う気がするのだ。
空気が透き通っていた。
誰もこの道をとおるものはいない。
鳥や虫の声もせず、ただ乾いた杖の音だけがあたりに響いている。
当時の日記をそのまま引用
向こうに見える田舎道の風景も素敵だ。緩やかなのぼりを歩きながら、ひしひしと幸せを感じる。早朝のこの雰囲気、あまりにも非日常、あまりに神聖。このために旅に出ているのだ。
当時の日記の続き
朝から泣けてきそうなくらいの清浄感。人がいないなあ。車も時々通るぐらいだ。ずっと登りだけど嫌ではない。左足が少し痛いくらいだ。
古い民家があつまった集落の横を抜けた。
みなさん、おはようございます。お邪魔します。
あまりにも誰もいない。
途中に新真弓トンネルがあった。トンネルというとトラックが轟音を響かせる恐怖の対象となるものだが、このトンネルすら無人だった。
だからこんな車道の真ん中で写真をとれる。
久万高原町にはいる。
まだ10時にすらなっていない。
目の前にある光景は日本の農村の典型的なそれであり、また私を癒してくれるものであった。
この国道380号線は素晴らしい。
目に映るもの全てが美しいのだ。
小さな橋を越えるときのこの何気ない光景すら見るものの心を癒す。
やがて、分岐に出た。
この道路標識に驚愕した。
ここが両方の県の合流地点なのか。それにしても松山と高知ってかなり離れている気がするけどな。
午前11時30分。腹が減ってきた。宿の人が作ってくれたおにぎりはとっくに食べてしまった。
見ると小さな食堂がある。地図で見ても数キロ四方に1軒しかない食堂。
私は旅に出たときに出会う小さな食堂が大好きだ。
私の好きな食堂の条件
1.おばあちゃんが手作りしている。
2.小皿に盛られ、ラップがしてあるおかずが棚に入っている。
3.天井から栓抜きがぶら下がっている。
4.冷蔵庫には瓶に入ったファンタやコーラがある。
5.数年を経た漫画雑誌が店の片隅に積んである。
6.計算はそろばんでおこなう。しかも五つ玉。
旅に出るといつもこんな食堂を探してしまう。
で、目の前の食堂だ。ごめんください。ガラガラ・・・・・・・。
いい感じっす。
カレーライス400円を注文。
そしてこれは期待通りの「ボン○○ー」の味がした。
これでいいのだ。
店を出たところでチャイムの音が聞こえた。
やはり鳴るか・・・。12時ですな。
ここからは33号線をゆく。徐々に車の量が増える。
とくにでかいトラックが私を邪魔だといわんばかりに追い抜いていく。
そんなに邪険にしないでください。私はあなたよりもずっと早くからこの道
を歩いていたのだから。
だんだん淋しくなってきた。
午前中は空気の清らかさに紛らわされていたが、そういえば誰とも会っていない。
ずっとひとりだ・・・。
午後1時過ぎに今日泊る宿に到着。こんなに早くと思われるかも知れないが、そのとおりでチェックインは4時である。事前に宿に連絡をして荷物だけ置かせてもらい、身軽な状態で44番大宝寺に行く段取りだったのだ。ふふふ。
大変にきれいな宿。そして優しいご夫婦が経営されていた。
さあ、行こう。ずっと歩いていたのに、なぜかこの旅、初めての札所へ!
そこで他のお遍路さんに会えるだろう。
荘厳な山門を抜け、細道を抜け、川を渡った。
そして
44番札所 大宝寺 12月28日 14:21到着
これまた4ヶ月ぶりの札所である。
ふもとの土産物屋さんで生姜湯のお接待を受けた。
話しているうちにこう聞かれた。
「大阪の人?」
やはりイントネーションでどうしてもばれちゃうようだ。
きちんとお参りをし、16時前に宿へ戻った。
あれま、あっという間に一日が終わってしまった。
午後4時には風呂に入れたという幸せ。着替えてきれいな部屋でのんびりする幸せ。
そして洗濯をする幸せ?
考えれば、こんな風に選択をするシーンをカメラに収めるというのも非常に奇特である。が、それも旅だからこそだ。日常、家で洗濯しているところを写真にとったりしたらそれこそ発想が危険である。
幸せに食事を頂き、
幸せに窓の外を見た。
今日もまたすばらしかった。
多少の孤独感はあったものの、快晴に恵まれ、快適な旅をおくれた。
明日もそうに違いない。今回の旅はまさに俺の勝ちである。
雨男返上だ。
おやすみ・・・・・。
上の写真と同じアングルでとった早朝の光景。
なんか・・・・・・・・・・・変だぞ?
まさか?
四国八十八ヶ所お遍路セット(スターターセット)
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