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天空の街へ ペルーひとり旅 



     第10回   これで70時間くらい寝てないのに動く  








周囲に人はいない。星も見えず明かりもほとんどなく、風だけが吹いていた。





どうしよう!?本当にやばい。



二度と海外ひとり旅はすまい、次はツアーで悠々と旅をするのだ。後悔である。




が、そんなことを思っている場合でなくなった。






少しはなれたところに人影が見える。






そのシルエットは私の様子をうかがっているようだ。
心臓の音が大きくなった。




しかも・・・、ゆっくりとその黒い物体が近づいてくる。





どうしよう!?さらにやばい・・。
俺はポケットに手を入れた。何か武器はないかと思ったが、あるのは膨らんだチョコパイの袋だった(第5回を参照)。
ちゃんと武器を持っておくべきだった。後悔その2である。
すなわち俺は今度旅をするときは、ツアーに参加して武器を携行するのだ。





などと考えている場合ではない。





その人影は俺のまん前にすでにいた!





心臓の音がマックスボリュームとなった。




「ホテルデスカ?」
日本語だった。しかもよく見ると女性だった。
「ホテルニトマリマスカ?」50代くらいの女性がまた言った。
私は一瞬考えて「シー。」
「ヘヤ、アリマス。」ホテルの呼び込みで駅へ来ていたのだ。
「いくらですか?」
「30ソルデス。」
高い。おそらくこの辺りの相場の3倍くらいを要求している。
値切ろうかと思った。
「わかりました。泊まります。」もう午前2時近い。女性も悪い人ではなさそうだし、私は3倍の料金を了承した。



坂の途中に女性のホテルはあり


通されたホテルの部屋は極普通だった。


シャワーを浴びるとようやく人心地ついた。
まさに捨てる神あれば拾う神ありだ。


早朝から並ばないといけない。
マチュピチュを一望できるワイナピチュ山にはどうしても登りたかった。
が入山制限があり、一日に400人しか許可されないのだ。ここまできて先着順のバトルをするとは思わなかった。

2時を回った。今日こそ絶対に寝る。体はくたくただ。昨夜も一睡もしていない。
ベッドに倒れこんだ。





おやすみなさい。






寝られない!!




おれはもう完全に寝方を忘れた。




人間ってどうやって寝るんだっけ?






すでに3時を回っている。

マチュピチュ行きのバスは5:30が始発である。おそらくは5時に起きれば大丈夫だろう。
ワイナピチュの先着400人もきっと平気なはずだ。

だから、あと2時間だけ眠らないといけないのだ。登山をすることになるから、体を休めないと。


おやすみなさいませ!








チッチッチッチッチ・・・・・。部屋に時計はないのだが、秒針音がなぜか聞こえる。
カチ!分針が動いた音すら聞こえた。すべては心の音なのだが、実に不愉快だ。


寝たい

寝たい寝たい


寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい







寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい
寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい寝たい



はあ・・・。



だめ。




外からドカドカ音がする。体のでかい人が重い荷物を持って動き回ってる感じがする。
このあたりのホテル客はほとんどがマチュピチュ目当てだろう。
おそらくは欧米人が出発しているに違いない。
時計を見たらまだ4時だった。みんなこんな時間から動き出しているのか。

やばい。一睡もしていないけど行くべきかもしれない。
5時出発の予定を繰り上げて、4時過ぎに私もあわててホテルを出た。

こんな早い時間だからおそらくバス停にはかなり先頭のほうへ並べるにちがいない。
一睡もしていないおれ自身へのご褒美だ。






まだ夜は明けていない。

急な坂道を下り、2時間前に歩いた時の記憶を頼りにバス停へ向かう。
10分後にはついた。こんなに早くついたんだもん。きっと先頭グループには入れてるに違いない!




あ"〜!?



 

大行列だった。


苦労がぜんぜん報われない。
もう俺、嫌っす。ペルーなんて大嫌い。
                                                   


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