掲示板  日記帳  リンク 更新記録  メール

失われた学校、村、道、鉄道を訪れた日の記録



       寒風吹きすさぶ山間の廃村を訪れた日 4



段の私の放浪の旅に目的はない。思いのままに道をゆき、目に映るものすべてに

心を寄せている。

だが今日は違う。廃村という明確な目標があった。出発前は、半信半疑であったその

村が、いま、私の目の前にあった。

バイクを走らせる私の視界に一軒の邸宅が入った。ゆっくりとブレーキをかける。その

家には、人の気配はない。ならばここが廃村??しかし一軒では村とはいうまい。

そんな疑問を抱く間もなく、私はあることに気づいた。道の両側のあちこちに、家があり、

そのどれもが無人のようなのだ。間違いない。もう、言い切っていいだろう。



ここが廃村!!




ついにたどり着いた。寒さに凍えながら、千切れそうな指を自分のひざ裏で温めながら

(わかりますか??この行為の意味・・。)ようやく、失われた村に到着したのだ。

自宅を出てから6時間近くがたってのゴールであった。


偉大なるアスファルト道路がここまで延びており、その左右に6軒の家屋があった。


私はバイクを降りた。カメラだけを手に歩き始める。























私にブレーキをかけさせたのがこの廃屋である。

かなりの大きさであり、林業を営んでいたの

ではないかと、そのとき想像した。農業をしていた

形跡がないのだ。



家の真下まで行って撮影した。ポストの中は

からだった。周囲にはいくばくかの家人の持ち

物が残されていた。が、扉には南京錠がかかっ

ている。いつかは戻ってこようと考えておられた

のではないだろうか?
道の反対側は崖になっており、その下に

この家があった。

実はこの家屋jのみ中をのぞけたのである。

そして、中の写真も撮ってしまったのだが

さすがにHPに載せることはできなかった。

小さな庭には畑の跡があった。それは

農業というよりは家庭菜園的なものだった。








このとき私はバイクを降りて、徒歩にて

村の中を歩き回った。おろかなことだが、

やはりキーを抜いていた。誰も来るはずが

ないのだが、意図してそういう行動をとった。

あなたならどうするだろうか?











きれいな廃屋ばかりではなく、このように

朽ち果てたものもあった。

自分で公開しておいていうのも矛盾だが

それでも今、胸が痛む。この写真を、もの

すごい偶然で家の持ち主の方がご覧に

なったらどう思われるだろうか?無意味な

感傷ではあるが、偽らざる思いでもあるのだ。









実はこの写真にも廃墟は写っている。

村の最深部にあった家だ。

緩やかな坂道をのぼっていき、

この家にたどりつくようになっているのが

おわかりだろうか?右上に屋根が写っている。

すぐそばまで行ったがやはり南京錠が

かけられていた。

どれほど歩いていたか、記憶にない。それほど長い時間を費やしたわけではない。

私はバイクに戻った。

初めて体験する不思議な感覚が私の体全体を覆っていた。廃村とはかくなるものだったのか。

友人に廃村を一人で訪れた話をすると、例外なくこういわれる。「怖くないのか?」と。

事前に恐怖感がなかったかというと、実はあった。

だが、だ。二月の冷たい風に吹かれながら廃村を訪れた印象は、美しさと慈しみだけなのだ。

このHPを開始した直後に感想を書いてくださった方の「『人がいたけど、今はいない』という

感じは、『今いる』ことより、人間を感じる」という言葉が、まさに私の廃村への思いを言い表している。



廃屋はなくなったが道はさらに奥へ続いていた。この先には何があるのか??

行くべきか、それとも?夕日の赤い光は私への警告にも思える。残された時間はあまりない。

太陽の警告に従ってそろそろ帰るべきか。


ふと、ある重大な出来事に気づいた。やばい!リミットではないか。考えるまでもなく、

即刻帰宅である。時間ではない。

ガソリンがほとんどないことに、いまさら気づいたのだ。ふもとまで持つだろうか?

エンジンをかけて、恐る恐る進む。


皮肉なことだ。帰ろうとしている私の前に第二の廃村が姿を現した。



                                   

   


廃村を訪れた日 目次

                                                  

     トップページ  掲示板  日記帳  リンク 更新記録  メール

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送