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失われた学校、村、道、鉄道を訪れた日の記録



                  寒風吹きすさぶ山間の廃村を訪れた日 3



扉は開いた。古い窓から差し込む淡い光は、薄暗い廊下に不思議な陰影を

もたらしていた。今まで見たことのない光景。確かに古びていて壊れた建物なのだが

胸に迫る美しさを持っていた。

廊下はほんの数メートルで終っていたが、そこにかつてここが学校であったことを示す

遺稿が残っていた。


低学年用だろう。腰の辺りまでしかないゴールが

そこにあった。外から見ると木造の小さな建物

でしかないこの存在が、中には魂を抱えているように

感じた。廊下を歩くことはできなかった。一歩踏み入れ

るだけできしむ音がする。



廊下を歩けないため、必然的

に横の教室に入ることになる。

 やはりここは学校なのだ、と確

信する光景であった。     


同じく低学年用と思える小さな机たち。

そしてその前には先生がひいていた 

オルガン。                 

むろん電動ではなく足元にペダルが

ある古いタイプだ。現物を見たのは

初めてである。



しばらく私はそこにたたずんでいた。

何気なく訪れた廃校だが、これほど

までに人の息吹が残っているとは

思わなかったのだ。

私がこのHPを作る際に副題をどうするか

多少悩んだ。真っ先に浮かんだのがこの

教室の情景である。子どもたちが、先生が

はるか昔にうたっていた場所。歌声が

聞こえてきたといえばさすがにうそになるが

少なからずそんなイメージを持ったのだ。

したがって、副題を「遠き日の歌声」とした

のである。              
      
教室を出て次の部屋に移った。記憶によると二部屋しか

なかった気がする。そこには駄目押しのこんなものがあった。

墨筆鮮やかな文字。何人の子供たちがいたのだろう?

この小さなグランドで歓声を上げていたのだ。
私は部屋を出た。反対側に扉はなくもときたところから、外へ出た。小さな

小さな空間だったが相当長い間いた。不思議な感覚だった。山の奥の奥

のそのまた奥にひっそりと眠る学校があったということ、そしてある種の罪

悪感もあった。勝手に中へ入ってしまったのだ。やはり良いことではないだ

ろう。これをこんな風に公開することも実は多少はためらわれるのである。

したがって、見る人が見ればどこなのかはわかるだろうが、HPを見た方の、

廃村の場所の問い合わせにはお答えすることはできません。どうぞご了

承ください。


完全な日没までには、まだ時間がある。この道路の先はどうなってるんだ

ろう。そちらにも行ってみたい。私は廃校をあとにした。




今度の動きは数分だった。すぐに私はバイクをとめた。そこには・・・・・・・

廃村・・・・・。そう、やっぱりここだったのだ。


                          


    

廃村を訪れた日 目次

              
                                               
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