俺の頭上で輝け!南十字星 

日本最南端への道





   第4回 南風見田キャンプ場での一夜の話




海岸からさっきの道へ戻った。

バイクはキーをつけっぱなしで出てきた。
けど誰もイタズラなんかしまい。




そう思っていたが


ぬお!




こんな光景はじめてみた!




バイクが、


見えない・・・。


替わりに




真っ黒なものが俺のバイクを覆い尽くしている。






あの〜、みなさん何をなさっているんでしょうか〜?







俺のバイクが・・・・・・・・・・・・・



大量の



カラスによって

埋め尽くされていた!








なんでやねん!
西表のカラスはバイクを食うのか?

いや、ちゃう。


カラス君たちは、フックにかけていた

僕のディナーを食しておられた。




ああ・・・。

そこには無数のくちばしのあとのついた俺の晩飯が・・・・・・。






キャンプ場に戻った。
もちろん手ぶらで。(晩飯どうしよ??)




まだまだ明るい。
いいなあ、一日が長いって。

前の章でここはバックパッカーの聖地と書いた。
ずいぶん前から、ここは旅人が訪れそしてすみ続けていた。
今でこそキャンプ場として整備されたが、それ以前も条件の良い野宿地として、
バックパッカーには知られていた。
なかには20年以上もすんでいる人もいるという。


そしてその聖地でやはり私も旅の先輩と出会った。

東屋に入ると一人の青年が食事の支度をしていた。



こういったキャンプ場、特にバックパッカーの多い場所で出会う人には
どうも二つの特性があるように思う。

一人でいることをを愛し、あまり話しかけられるのを好まない人。
もう一方は他の旅人との会話を喜びとする人。

私は、ものすごい後者だし、出会う人もできれば後者であってほしいと思う。
でも前者のタイプの人の価値観を否定もするつもりはなく、そういう人の気持ちもまた分かる。

だから旅人に話しかけるときはいつも慎重にする。



そこで食事を作っていた人は何の屈託もなく私に話しかけてくれた。
後者であった。


彼は兵庫県のダイスケ氏。
もう半年以上ここで暮らし、そして世界中を旅していたという。


自家菜園で収穫をするダイスケ氏。




さらにおくから年輩のおじいさん(沖縄ではオジイという)が出てきた。

「やあ、今日来た人かね?君も旅人か?」
「あ、はい。一応そのつもりです。」
「旅の経験はどれくらいだ?」
「えっと・・。4年前に遍路をしたり、インドに行ったりしてます。」
「すごいじゃないか。」

そういうオジイはかなりの旅人のようで、ここでずっと生活しているそうだ。



お二人とも屈託なく私と話してくれた。
そして人見知りをしない私もまた屈託ない心境であった。


もう夕ご飯の時間。
でも私の夕ご飯は今頃カラスさんの食卓に上っておられるだろう。


「これ、食べなさい。」
オジイが示してくれたのは、幾年月を経た鋳物の鍋。
その中には特製の汁が入っていた。

それをありがたくいただく。


なんということだろう。

昨日までは、眉間にしわを寄せて仕事をしていた私が、
今はこうして見知らぬ人に心を開き、力を抜いて息をしている。
そして愛想からではなく、心からの笑顔が出ている。



同じ人間なのにどうしてこうも変わってしまうのか?
答えは見つからないままだ。




「風呂がありますよ。」ダイスケ氏が教えてくれた。
「え、このキャンプ場のどこに?」

「あの小屋の中にドラム缶があるから、

そこに水を入れて自分で薪をたいて沸かすんです。」



うわお!五右衛門風呂ですか!!


あかん!楽しすぎる!


  
こんなお風呂、人生初です。

自分で薪を焚き、じわじわと水がぬくくなり





そして20分経過・・・・・・




このにごったお湯の中に




こうやって・・、





つかれるなんて!!




                



最高のシチュエーション!
どんな温泉にも負けないくつろぎを与えてくれていた。




そして、風呂上りには今一度先輩たちとのゆんたく(宴会のこと)が待っていた。

照明はもちろん電気などない。

では何をもって明かりを得るのか。


それは石油ランプ。

ダイスケ氏が点火をした。

すると、やさしい光が辺りを包んだ。「ああ、いいなあ。」と素直にこのとき感じた。
     
蛍光灯の光では得られぬやさしさをオイルの明かりから感じ取れる。


それにしてもなんという不思議なことだろう。




旅に出ると、

一条の光にすら

思考をめぐらせ、

そして感謝の気持ちを得られる。



家にいて照明をつけたとき「いいなあ」などと思ったことは一度もないのだ。





この赤銅色の光の下、

終わってほしくない一日

終わりを告げようとしている。





明日、西表ジャングルの探検!



                                つづきまくります



      このお話の目次  

    トップページ  掲示板  日記帳  リンク 更新記録  メール

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送