みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
2003年夏編 第1部 第1回
ん?
なんや・・・・・・・・・・・・・?
この不愉快な音は・・・?
げ?目覚ましがなってるし。あ〜今日も仕事か・・・・。
まてよ・・・・・・・・・・・・・?
今日は休暇をとった日やないか・・・。
くそ、起こしやがって・・。二度寝じゃ、二度寝。
しかし、休みの日の二度寝ほど素敵なことはないなあ・・・・。
いまこれを読んでるあなたもそうでしょ?
二度寝・・いいね。
ではおやすみ・・・・・・・・・・・。
あ!
あかん!寝たらあかん!危ない、危うく沈没するところやった。
そう、今日はあれほど決意したお遍路に出発する日なのだ。ついにこの日が来ました。
うれしいなあ。寝てなんかいられるか。休みを取るためにどれほど涙ぐましい努力をしたか。
仕事なら起きるのにすごいエネルギーを費やすのだが、旅の日は面白いほどスムーズに起きられる。
どうしてお遍路に行こうと思ったのだろう?実はどうしても思い出せない。元からいろんな雑誌や本から知識は得ていたのだが、どれも決定打ではない気がする。ただ、私の普段の旅の感覚にダイレクトに入ったのは確かだ。
今回の休みは十日ほどなのだ。しかも徒歩で行く決意をした。おそらくは徳島県の札所を回るだけで終わるだろう。でもそれでもいい。
今行かねばいつまでもずるずると引きずり、何もせぬままいつか命が終わる気がする。
さらに不愉快なことに、途中で一日どうしても仕事で戻って来なければならないのだ。実に痛い。
近いとはいえ、往復で時間的なロスが生まれる。盆をはさんでるため、これまた乗り物の切符が取りにくかった。
しかし、だ。いけないよりはずっとよい。細かいことは捨て置こう。
立って歩くのだ。
朝、7時に難波駅(大阪府)を出る高速バスに乗る。私は乗り物酔いのプロである。バスを見るだけで酔う。それに耐えたとしても乗った瞬間にあのなんともいえない、ガソリンと芳香剤の混ざり合った匂いで酔う。
走り出したらもっと酔う。旅の回数を重ねても、これは変わることがなかった。
ところが今回はどうだろう。「徳島」と書いたバスを見るだけで心が躍る。非常に気分がよかった。寝不足も気にならなかった。
徳島までは三時間。満員の他のお客様はみなさん、ぐっすりとおやすみになっている。私だけが一人興奮した顔で窓の外を見ている。そう、一人旅なのだ・・。企画の段階で、何人もの友人に声をかけたのだが、誰も同行してくれなかった。仕事にせよ、家庭にせよ、旅に出られる条件が複数人でそろうことは難しい。ぎりぎりまで待ったが、結局同行者はいなかった。
かくして私は人生初の一人旅に出たのだ。怖いなあ・・・。
興奮した私は目に映るものすべてを記録したかった。これは今回に限ったことではない。いつも旅に出るとすさまじい枚数の写真を撮る癖がある。道端で見かけた一枚の看板。どうでもいいような木。でも、今を逃すと永久に見られないと思うと、ついカメラを取り出してしまう。上のバスの写真だって、あとになって友人に酷評された。必要あるのかと・・・。この問いに理論でもって答えることはできない。「気もち」なのだ。
この下の写真など、いったいなんの目的があって撮ったか、もう忘れた。ただ、2003年8月7日の午前7時5分の私にとっては大切だったのだろう。難波駅を出てすぐの街並みである。今はこんな電柱やら都会にいるビルやら、自転車に乗った通勤者にあふれる街にいるが、これから数日間は自然と情緒あふれる世界に飛び込むのだ。その「自然と情緒」という言葉が実に心地よい余韻を伴って私の心に、その刹那鳴り響いた。
予定通りの時間に明石海峡大橋を超えた。写真・・?もちろん、ある。
今、気づいたのだが前の人の姿が映っている。実に現代的な行動をおとりだ。まあ、いい。人それぞれだ。
いよいよ国境を越えた。この場合の「国境」は「こっきょう」と読むと興ざめする。ぜひ、「くにざかい」とよんでください。
徳 島 県
の文字を見るといよいよ、旅が始まったという実感がわいてきた。こんな標識をこれから見つめながら旅をするのだ。
しかし・・・・繰り返すようだが、一人旅だ。できれば順調に行ってほしい。もちろんハプニングも楽しみではあるのだが、やはり初めての一人旅。お手柔らかに願いたい。
・・・・・・・こういう考えが、よくないものを招く。旅の天敵がそのときゆっくりと、四国に、特に私に向かって進んでいることを私は知らなかった。
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