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失われた学校、村、道、鉄道を訪れた日の記録

  寒風吹きすさぶ山間の廃村を訪れた日 1



地方に出かけたときにふと不思議に思うことがある。
電柱が立ってるのは当たり前のことなのだが、こんな山奥にまで良くぞ立てたものだ、そして、それは誰がどのように設置したのかと。
あなたはそんな疑問をいだいたことはないだろうか?





さて・・・ここから記念すべき最初の放浪の話に移る。
いきなりだが、私はどうすべきだろう??マジでやばいとになっているのだ。
頼みの綱の太陽がすっかり沈んでしまった。もうすぐ完全に闇が訪れる。

どうしよう・・。
ガソリンもほとんどない。


ここはどこなのか?
混乱した頭にはわからない。わかっているのは数十キロ四方に人里はないということだ。なんで俺はこんなところにいる??なんでガソリンがなくなることに気づかなかった??

そこは山奥の廃村だった。

灰色の空気があたりを覆い、不快な風の音だけが耳元を走る。雪がうっすらと積もった道には、私とガソリンがほんの少し入ったバイク。

どうする?私は三つの選択肢を前にパニック寸前だった。


 ひとつ  バイクを押してともかくふもとまで降りる。
      ただし、動かないバイクほど手に負えないものはない。
      それ以前に、人里はどこなのだ??


 ふたつ  バイクをここにおいて下まで降りる。ただし、またガソリンを持ってここまで戻        ってこなくてはならない。そんなの・・・ぞっとする!


 みっつ  今まで喜んで見学していた廃屋に泊り朝が来るまで耐える。できるだろうか       ??


腹が減った・・。のどは渇いてないが、空腹でめまいがしてきた。

寒い。それに怖い・・。



風の音がまた強くなった気がする。







友人からその廃村の場所を書いたメールをもらったのは一週間前のことだった。彼はキャンプの候補地を探していて偶然にその村をみつけたらしい。もう、今では破棄してしまったがその文ははこんな感じの内容だった。


キャンプに最適な場所があったで〜。次の連休に行こうや!かなりきれいな川が流れていたし、あたりに民家もないから迷惑もかけへんよ。ただ、山奥に何軒かの廃屋があった。十年ほど前に無人になった形跡あり。数件の廃屋と廃校があった。場所はこの地図を見ろ。


キャンプはともかく、後半の内容に思わず琴線が反応した。



廃村・・・・・・・・・・・・・・・。



人がいなくなった集落など行ったことがない。どんなところなのだろう??必死に光景を思い浮かべようとしても、私の想像力の範囲を超えた存在であった。

昔から放浪が大好きであり、多くの場所にに心をふるわせてきたが結局はそれは人間のいる土地ばかりであった。だからこそ一度、廃村を訪れてみたい。


何人かを誘ってみたが同行者はでなかった。当然かもしれない。どことも知れぬ、山奥の廃村をバイクで探そうというのだから。季節も悪かった。どうしよう。行ってみたいが一人はいやだ。いや、逆かもしれない。

一人はいやだが、一度でいいからその秘境をこの目で見たい。

この時点で心は決まった。




出発の日の朝、前の日から降りだした雪がさらにいっそう勢いを増していた。メールには実にいい加減な地図が添えられていた。相当な深山の中のようだ。一人でこんなところまで行って危険はないだろうか?おそらくは大丈夫だろう。しょせんは人間が住んでいた土地なのだ。

「そう、なんとかなる!」

もともと楽観的なところがあり、今回も自分の感覚に信をおくことにした。結果的にはこの楽観性がひどい事態を招くことになる。


 


自宅を出発して三時間が経過していた。まだ、昼前だ。雪は少しずつやんできていた。車の量もぐっと減り、山間に差し掛かるころには道のどこを探しても、他の車の姿はみえない。廃村が近いからだろうか。

 

知らない土地を走ることがうれしく、寒さも苦にならない。雪も完全になくなり太陽が顔を出した。昨日までの不安はどこかへ消えてしまっていた。「
うーん!これは楽しいぞ!!きてよかった・・
道はさらに山の中に入る。誰とも会わない状態で十五分ほど過ぎた。
水の音がする。右を見ると小さな滝があった。ささやかだが、素敵なものに思えた。水は道の下を流れているようだ。では、その先は?左を見た。
実に恥ずかしい話なのだが我知らず叫び声をあげていた。

「すっげ〜!」

どうも、今見ると、「すごい」などと表現するほどでもないのだが、やはりそのときは感動したのだ。
むろんその「すごいもの」をあなたにも見ていただこう。



 




・・・・・・・・・・・・・。

期待を裏切ったことだろう。どうぞ旅の上での感動だと笑っていただきたい。



しかし、水のある光景に心を奪われるのは、どうも生きるものの本能であるような気もする。
写真ではわかりづらいが相当に透き通った水だった。青ではなく緑の湖水であった。人里はなれたところなればこそだ。やつがいっていたキャンプに最適な場所とはこのあたりかもしれない。
 


さらも進むと今度はこんなものを見つけた。これもまたおもしろい。旅に出ると目に映るすべてのものがいとおしくなる。だから人は旅立つのかもしれない。


先ほどの湖に流れ込む川にこんなものがかけられていた。
私は私はバイクを止めて、この橋をしばらく見つめていた。

さて、どうだろう?わたるべきだろうか?ほとんど手作りの様相をなしている。どう見ても頑丈には見えない。だ
が、やっぱりわたってみたくなるのも人情というものである。

あなたがこの場所にいたら渡るだろうか?












一歩足を踏み入れてみた。かすかに「ぎい!」という精神衛生上、誠にやさしくない音がする。実は人の歩いた跡はちゃんとあるのだ。あえて書かなかったが、この橋を渡った先の地名を書いた看板もあり、その土地は事前の調査により廃村でないことはわかっていた。

から・・・大丈夫なはず・・・・・なのだが・・・・・さあ、どうすべきか・・?

                                                


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