失われた学校、村、道、鉄道を訪れた日の記録 |
寒風吹きすさぶ山間の廃村を訪れた日 2
結局私は小心者であった。こんなところで怪我をしたら、誰も助けてはくれない。何より目的地の廃村にはまだ着いていないのだ。美しい緑の水と、素朴な橋を眼に焼き付け、私は再びバイクにまたがった。
道は一気に上りになる。途中までは車のとおった跡がそれなりにあったのだが、このあたりにはその形跡がない。とはいえ、道のかたわらにはずっと電柱が立っている。人間の力は偉大だ。その力を良いことに使ってほしいものである。
行けども行けども、なにもない。
ただ道が続くだけである。
何のためにこの道があるのだろう?
ふと、時計を見た。三時半である。二月の日没は早い。決して寄り道をしているわけではないのだが、それでも時間はたっている。そろそろ目的地に着きたい。
前方に案内板が見えてきた。こういてある。
左折 行き止まり
「おお・・・?」勘が働いた。この先に廃村があるのでは・・?たいした根拠があるわけではない。ただ、行き止まりということはそこに何かがあるからこそ、道を作っているということだろう。左折道はさらに急なのぼりとなって、進む者を困らせていた。路面には枯葉が積もっている。人の気配が道からも感じられない。
数分の後、それは唐突に現れた。
にしては、小さい。ただの農作業小屋ではないのか?実は、一度通り過ぎて思い直して戻ってきたのだ。
おお!廃校だ!・・・・・・学校??
横を見ると小さな手洗い場らしきものがある。
建物のすぐ横に小さな屋根付きの水道があった。普通の民家であったり、農作業小屋ならこんな設備があるまい。
ならば、これが目標としていた廃校なのだろうか?
もう少し水道によってみた。三つの手洗いがあり、低い位置に作られている。
もちろん水は出ないが、これが学校の設備である
ことは間違いではなさそうだ。
しかし、確証がほしい。こんな小さな水道だけでは、どうも自信がない。
やはり、建物の中に入らねば。
それはしてもいいことなのだろうか?
それ以前に扉が開くのだろうか?
私はゆっくりと建物の扉に手をかけた。
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