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最初はめちゃかっこよく旅立ったのに、
次から次へとむちゃくちゃなことが起きて
結局これはいったいなんだったんだろうという変な旅の話
最終回
↑いまの俺たちの心境
-------------第12幕 そして夜---------------
「ありがとうございます!!!ここで遭難するかと思ったんですが。」
「いやあ、どってことないよ。」
「あの、お名前は。」
「いや、いいって。」
そういうと おっちゃん 男性の方たちは
さっきの 廃車 お車へ乗り込んでいってしまわれた。
とおもったら、すぐに戻ってきた。
「いやあ、兄ちゃんら、すまん。この車古いタイヤで走ってたらパンクしてるわ。
すまんけどふもとに行って修理屋に電話してもらえへんかな?」
「いえ、いいですよ、僕の車のスペアタイヤを使ってください。」A氏が大英断をした。
「そういうわけにはいかんよ。返せるかも分からんし、スペアだって高いし。」
「いえ、結構です。お互い様じゃないですか。」このときのA氏はめちゃかっこよかった。
かくしておっちゃんは行ってしまわれた。
後に残ったのはちらかした現場のみ。
いったいなんなんだ、これは!? ↑
それでも必死で片付けた。
「汗だく・・。頭だけでも洗いたいな。」大労働が終わったため切実な願いだった。
「こんなところにシャワーはないやろ?」
「いや、ここにある・・・・・・。」アホがいった。
「おりゃ〜!」かくして僕らは・・・、
ウンコ状態を一応脱し
アホになった。
頭を洗った。
そしてテントを張り、こんなこともした。
季節はずれのスイカ、一個2000円也!
でも事前の買い物でテンションが高くなっていたため、迷うことなく買っていた。
そして夜が訪れた。
買出しをしていたBBQ。肉は一切買わずすべて海産物でそろえた。
たぶん値段は高かったとおもうが計算していない。
残ったエビやキャベツ、それに麺は明日の朝食の焼きそばにするために
クーラーボックスに入れておいた。
「このクーラーボックス、氷がもう解けてるけど大丈夫かな?腐らない?」
「いけるよ、こんなけ災難だらけやもん。明日は悪いことはおきへんって。」
深夜が訪れた。
静かに焚き火を始めた。もちろん地面に悪い直火ではなく焚き火台をつかった。
これだよ、これ。
野宿したときの楽しみは、やはり火を見つめること。
昼間は水に苦しめられたが、夜は火に癒されている。
が、直後ものすごい風がふいたため、
ものすごい火柱が上がり、癒されなかった。
んもう・・・・・・・今回の旅ははずれやなあ・・。
明日こそはいいことがありますように。
水と火に苦しめられたんだ。
明日は何もありませんように。
-------------第13幕 失意の朝---------------
翌日、こんな音で目が覚めた。
うぎゃ・・・・・・。
ものすごい土砂降りだった・・・・・・。
やばい!早く撤収しないと・・。川が・・・。
とりあえず昨日保存していた食料で焼きそばを作ろう。飯だけでも食わなくちゃ。
クーラーボックスを開けて食料を取り出した。
うえ!
ものすごい腐敗臭がした。
氷の解けてしまった状態ではシーフードなんてひとたまりもなかった
すべての食料が腐っていた。
いや、唯一生き残っていたのが食パンだった。
ということで、俺たちの朝食は食パン一人一枚。
ぐじゃぐじゃとかじった。
そうしているうちにもテントの中にも見る見る水が入ってくる。
あっか〜ん。撤収や、撤収。
やばい!川が増水している!
重いテントや機器を抱えてわたろうとするが、すそをまくったくらいではどうしようもない。
全員、上半身は合羽をかぶり下半身はパンツ一枚になり必死でわたる。
朝までむちゃくちゃ。
いったい俺たちは何をしに来たんだろう?
車はその場を逃れるように走り出した。
そして旅が終わるとき、今回かかった代金を計算した。
何も考えず2000円のスイカを買ったり、高級なあわびやサザエやその他高級食材を買ったりしたため、合計で20000円を超えていた。3人で割り勘をしてもかなりの額となった。
そしてその三分の一は夜中のうちに腐敗させているのだ。
もう一つ金がかかったものがある。
バンパーが壊れタイヤから煙が上がり、数時間エンジンに負荷をかけたA氏の車だ。
ディーラーに持っていったが予想以上に重症だった。
ものすごい額の金がとんでいった。もちろん3人で割り勘をした。
この旅はダメ旅だった。
優雅にシーフードBBQを無人の峡でおこなうという予定だったのに、
車を水没させ、数時間を無駄にし、食材も腐らせ、テントはカビだらけになり、なにより車が大打撃となった。
修理代と食費を合わせてすごい額の金が出て行った。普通の野宿の数倍となった。
けど、だ。
一つだけ確かなことがある。
この間、僕らは一切の不平を口にしなかった。
人が複数で動きそして困難が発生したとき、
たいていは自分以外の人を攻撃することでその場を乗り切ろうとする。
それがなかったのだ。
そして年月がたち、旅の想い出を語るとき、必ずこのときの話になるのだ。
かかった金のことなど誰も言わない。
ただ、アホになってよかった、その思いしかない。
こういう旅の記録を公開するとき、ともすればそこに「教訓」を見出し、それを主軸に語ろうとするものだが、今回の私たちの旅にそれが見つけられない。
本当に僕らはアホで、むちゃくちゃをしたのに、誰も他のやつを責めなかったという一点のおかげですばらしい思い出となっているのだ。
訳の分からない旅とその記録ですいません。
でもこの訳が分からないままで、僕は今も旅を続けています。
混乱したままで、終わり。 お読みいただいたみなさん、よいお年を。
このシリーズの目次
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