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捜せ!の遊園地

          第6回



------------悲しみの遊具たち---------------




公衆便所にあやうく挫折を仕掛けた一行だったが、それでも脚がとまることはなかった。

観覧車と公衆便所を見ただけで帰ったりできるものか。


歩くにしたがって森の中に入っていくのがわかる。
この森はもとからあったのだろうか。それとも閉園の後、木が侵食したのだろうか。
建物が木々の間にちらりと見えた。







ふりかえると

観覧車も森の中に隠れていた。
これだけ見るといまだ現役の遊具のようだが、もう十数年見捨てられた存在なのだ。



前方になにか料金所らしきものが見えた。何かの遊具の受付なのだろう。




それははたして空を飛ぶ椅子の残骸であった。
こんな遊具、今はもうどこの遊園地にもあるまい。


そしてそのすぐ横には、言葉にできない悲しい姿がさらに鎮座していた。
すべり台のように小さな遊具ほどより寂しさをかもし出している気がする。





当初はハイテンションであった彼らがだんだん無口になってきた。
山道を迷っている時にはまだ見ぬ別天地を感じ、あの観覧車を見た瞬間には歓喜の声を上げていた。

だが観覧車が発する悲鳴を聞き、怪しい基地だと思っていた建物が公衆便所であり、
そして子どもたちを乗せていた遊具が力尽きている光景を見ているうちに、なんだか申し訳ない気がしてきた。


空を仰ぐと普段と変わらぬ青さがそこにあり、
そこを見よう、気分を変えようと努力するのだが、どうしても目が周囲の屍を求めてしまう。



そう、視線の先には潅木に囲まれて身動きが取れなくなった列車が、(どうしてこんなところに列車が?)
じっとわれわれを見つめ返していた。










いやっほ〜!





ふんぎゃ、またか。


悲しみを打ち破るあまりに無粋な声があたりに響いた。

               

うわ、こんなものがすぐそばにあったのか。
これもくるくると回る遊具なのだろう。


「すんげー、楽しい!」悲しみを微塵も感じず、ただ今を心から楽しんでいるものもいた。
デリケートすぎるのは生き辛いというのも事実だろう。



不意に背後の潅木が揺れた。小動物だろうかと思い目を凝らしたが何もいなかった。





------------驚き---------------


向こうのほうにアーチが見えてきた。
アーチなら、草に絡まれていても、いやからまる草や葉が多いほうがより美しく見える。
廃墟の中でも特異な存在だろう。

愚か者たちは癒しを求めてそのアーチを目指した。










「う・・・・・・・」撮影画像を確認していた誰かが息を詰まらせた。

「これ、アーチと違う・・・。」

ここまで大自然は強いのだ。そして遊園地はそれに完全に負けているのだ。


どうして電柱が折れ曲がるのだろう。コンクリートなのに。





「前方にめちゃしい建物発見!」 誰かが叫んだ。

「ほんまや、かなり怪しいぞ。」

「気をつけろ。がいるかも?



やっぱり彼らはアホだった。




     
         ↑めちゃしい建物



「まずはお前から入れ!」
「なんで俺が一番やねん。そういうお前がいけや」

「あほ、俺は隊長やから全員の安全を確かめてから最後に入る。」

・・・いつの間に隊長に就任したのだ?





誰かが入った。
続いてもう一人が入る。


「待て!俺をおいていくな、あほお!」
お前が最後に入るって言ったんやろ?




中は薄暗い。建物のせいもあるが、かなり日が落ちてきていた。空気も冷たくなってきているのがわかった。

うっかりすると床を踏み抜きそうだ。




「ぎゃああああああ

        ああああああああ!


だあああああああああああ!」




誰かが叫んだ。




  敵?





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