捜せ!幻の遊園地
第3回
------------かっこよく崖を降りる------------
こんな山奥で、こんながけを降りるなど普通の人ならしない。
勇気ある撤退をするはずだ。
しかしここにいる3人は・・・・・
「これは絶対に遊園地に通じるがけに違いない!」
「俺もそう思う!」
「降りようぜ!」
「降りよう、降りよう!」
みんな何にも考えていなかった。
藪を書き分けたその先には3メートルほどの崖があった。
白い土でできているため、少し足を乗せてもばらばらと崩れていく。
普通に降りるとあっという間に滑り落ちてしまいそうだ。
どうすべきか。
1号が近くにつる草を見つけた。
「これを近くの枝にくくりつけて降りよう。」
見るからに千切れそうなつるだ。
「危ないからやめよう。」
などとは誰も言わず、
「おお、すっげ〜。かっこいい降り方や!」どこまでも彼らは能天気であった。
近くにあった枝にくくりつけ、1号がゆっくりと降下を始めた。
ブチ!
と、誰かが口で言った。
「おどすな、あほう。」さすがに1号が怒る。
ズル!
今度は本当に1号が滑り落ちそうになった音である。
彼は足を滑らせてあわててツルにしがみついた。
ぴろぴろぴろ!
「げ!こんなときに!」
崖を滑り落ちそうになって必死でツルにしがみつく1号の携帯がなった。
ぶ、彼には申し訳ないが、おもしれ〜。
1号は悲惨な思いでようやく崖を降りた。
2号は冷静に携帯の電源を切った。確かにこの状態でバイブでぶぶぶぶやられたらたまらない。
「俺は冷静に降りる。」2号がクールに言った後、ツルに手をかけた。
ずるずるぅ ぶっちぃん!
1号と3号が崖の上下から同時に叫んだ。
「ぼけー、お前ら死ね。」怒る2号。
彼もようやく地上に降り立った。
残る3号だ。おそらく他の二人は思いっきり何かを言ってくるだろう。
あ、あれは・・・・・?
彼はある事実に気づきそのとおりにした。
「なんじゃこりゃ?」崖は傾斜しており左に行くにしたがって崖が緩やかになっていたのである。
------------荒道をゆく------------
こ、これは・・・?
ようやく地上に降りた3人の前に、いかにもな様相をなした道が突如として姿を現した。
「絶対この向こうに遊園地がある!」
そうとしか思えなかった。
その道はもう何年も人が通っていなさそうだった。かつては車も通っていたと思われる土のうえには低木が生い茂り始めていた。
道は徐々に傾斜を強くし、歩き続ける彼らの額にも汗がにじみ始めた。
みな次第に無口になってきた。もしかしたら、この道は間違っているのかもしれない。
だが、後戻りをしようとは誰も言わなかった。
目の前にたぶん都会ではめったに見られないきれいな鳥が飛んでいたが、どうでもよかった。
きれいな鳥より、汚い観覧車こそが我々を元気づけるのだ。
そしてその観覧車など、とうていありそうにない景色が広がった。
「この草原はなに?」
20平米ほどの草原というか、しだ植物の生い茂る平地に出た。
草いきれがひどく、あたりは蒸し風呂のように暑かった。実に気持ちの悪い状態だ。
そして道がどこにあるのかもわからなくなった。
もはや、これまでだろうか。
口には出さないが、一同の顔にあきらめの色がうかんでいる。
誰かが勇気ある一言を言えばクーラーのきいた車にもどれるのだ。
なにより、腹が減った・・。
グググググググググ・・・・・・・。
変な音が聞こえる。誰の腹の音だ?
だがその重低音は断続的にうなっている。
向こうの森の奥からのようだ。
みんな取り付かれたようにその音のほうに近づいていった
うわお!
足元が川になっていた。正確に言うと、じゅるじゅるの湿地帯だ。
しかし誰も気にせず、音のするほうへさらにさらに歩いていった。
あれはなんだ?
荒地の中に、落ちているもの。
久々に見る人工物。
そこには・・・・・・
看板だ!
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