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                                                                  屋久島へ・・・・・
                                                第5回 平内海中温泉


その温泉は海の中にあった。でも私たちが行ったときには海の横にあった。
引き潮の時だけ、海の上に顔を出す素敵な温泉である。

        平内海中温泉    

この温泉に入るために潮の満ち引きまで調べていったのだ。

道の下に温泉が見える。それなりにたくさんの人がいる。
私たちも入れてもらった。地元の人もたくさんきておられるようだ。


温泉のすぐ横には海が見える。
さっきよりも海が近づいている。満ち潮になりつつあるのだろう。
なんというおもしろさ。目の前に潮の道引きを見つつ温泉に入るのだ。
そして頭の上には真っ赤に焼けた空がある。

この温泉に入っている人はみんな沈黙を守っている。
どの人も、この潮の音を辺りのどこからか聞こえてくる鳥の声、虫の声に聞き入っているのだろう。
ただ一つ例外があった。


それは







もちろん










僕たちだ!








「うわあ、すっげえ!海と温泉がひっついてる!おい、来てみ、来てみ!カニおるで!」
「見たい、みたい!ほんまや!」
「うひょ〜、こっちには藤壺がおる、すげえ、見に来て!」
「まじや!」

「あ、ピースケ、こっち来てみ、フナ虫おるでフナ虫!」


それは見たくない。



などとアホな話をしながら温泉に入っていた。

アホなのは会話だけではない。
そのまま岩で出来た浴槽を出ると、海のほうへどんどん入っていった。
人生初の裸での海水浴。
岩一枚隔てて、入浴が海水浴になったのだ。


周りの入浴客はみんな冷静に入っておられる。





こうしているうちにも、夕日は見る間に海の向こうに消えていく。

なんといっていいのだろうか。この雰囲気を。この喜びを。
故郷を遠く離れた南の島で、温泉に浸かりながら波の音を間近に聴く。
後ろの山からは小さな命の声が聴こえてくる。
そして仲間がここにいる。
いうなればこの島のこの時間は「完璧」だった。
そして、明日はいよいよ憧れの縄文杉を見にいくのだ。
あすもまた完璧な一日になるはずだ。

温泉から上がり、また私たちは走り出した。
途中あまりに空の色が美しかったので、写真をとった。

                       

宿に着いたとき、私たちは最後の客だった。
一日何も食べず走り回っていたが空腹を感じなかった。見るものでお腹がいっぱいになっていたのかもしれない。それでも、食堂からはいいにおいがする。
急に食欲が爆発した。
         
「屋久島の醤油は甘い」とどこかできいたことがある。
なめてみたら本当に甘かった。

でもこれもまたおいしい。


そして平内海中温泉では体をあらう設備はなかったので、宿の風呂にも入る。
岩でつくられた大浴場だ。それに誰もいない。私たちだけだ。
こんなに広くていい雰囲気の風呂を独占できるなんて・・。

この宿の時間もまた完璧であった。
もう、これはいい気分でパンツ一丁で部屋まで戻る。マナーも何もあったものではない。



しかし、一つだけ完璧でないものがあった。













そ、それは・・・・・・。












これである。




   汚い!






もともと整理整頓が二人とも嫌いである。
リュックから出したものを、どんどん畳の上におきっぱなしにしてしまう。
だからこうなる。



こんな散らかした部屋で私たちは眠りについた。

眠りについたの午後11時31分。



目が覚めたのは午前5時。
昨夜遅かったにもかかわらず、めざましですぐに目が覚めた。
仕事だとこうは行くまい。


外は薄ぼんやりとした明かりが空気を暖め始めていた。
早起きの鶏がどこかで鳴いている。そして夜更かしをしている夜虫の声がする。

窓を開けると屋久島の命の息吹がいっせいに感じられる。



ついにこの日が来た。
縄文杉に会える日だ。
樹齢7000年を生きた大先輩に会うのだ。
一説には樹齢は2000年だとか、縄文時代にはなかったとかいろいろといわれている。
が、今の高揚した私の心には7000年でも2000年でもよかった。
ただ、永の時を過ごした命に会いたかったのだ。



一番乗りで食堂に到着・・・・・・・。



と、おもいきや他のパーティは全て出発した後だった。
私たちは宿泊客の中で最後に起きていたようだ。
みんなすごい。

縄文杉登山では五時起きですでに寝坊なのだ。




宿の方に朝ごはん用の弁当と昼食用の弁当を二ついただく。
大きな幕の内弁当と小さなおにぎり弁当だ。
どっちが朝ごはんでどっちが昼ごはんだろう?




バイクは延々と坂を登っていく。それに伴い朝日が目の下に見え始めた。
           
おはよー!屋久島の朝日君。きれいな光をありがとう。
そして雨に負けないでね。

僕らは太陽に向かって呼びかけた。
  




次第に車の量が増え始める。こんな早朝走るタクシーもあるのか。
みんな行くところは一つだ。

荒川登山口についたとき、そこは日本国内で早朝で最も人が多く集まるところではないかと思えた。それぐらいすごい人でごった返していた。

そんな人たちを見ながら、バス停に座り朝食をとる。




午前7時。みんな歩き出してもういない。そしてこの遅い時間が僕らの出発だ。


トロッコ線路が見える。この向こうに、この先に縄文杉がいるのだ。
体が熱くなるのがわかった。
かなり大変な道だと聞く。だが、ゆこう。縄文杉に会いに。
脈拍が速くなるのが自分でも分かった。
                     


        

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