やがて夜が訪れた。
一人旅での闇はともすれば恐怖感を覚えるが、仲間がいるときはそれぞれの暗闇に身を置くことで、
より結束力が強まる気がする。
向こうにたくさんおられるはずのオートキャンパーたちの声も聴こえない。
あるのは自然の声と、旅仲間の姿。
この就寝するまでのほんのわずかな神聖な時間。
少しの時間も無駄にせず、いろんなことを語り合った。
どんな話をしたかは詳しくは書かない。お二人に確認をしていないからだ。
でも、旅のことを、これまで生きてきたことを、そしてこれからのことを話した。
親しい友人にすら言っていないことも、この場でなら言えた。
それがいえる人たちだった。
なんと不思議なことだろう。
毎日会っていてもまったく愛せない人が私の周りにはいる。
でも
一瞬すれ違っただけなのに、
心からの信をおける人がいる。
たとえ世界が狂乱の叫びを上げようと、
私たちのこの大切な時間に入り込むことはできない。
本気でそう思った。
日付がかわった。
明日も早い。
寝ることにしよう。
「その前にお休みコーヒー、どうですか。」なりすけさんが言った。
「あ、もらいます♪」
彼がテーブルにコーヒーを置いた。
どん!
家庭用のインスタントコーヒーの瓶。
そんなものを持ち歩いているのか。
私のつぼにはまった。
気がつけば、星が雲間に見えている。
もう大丈夫だ。
だからテントも張らず、東屋の下に寝袋だけを敷いて川の字になって寝た。
これも旅ならではだ。
ただ寝るだけが楽しい。
仲間がいれば寝るだけでも喜びとなるのだ。
おやすみなさい・・・・・・・・・。
2時間経過・・・・・・・・・・・・・・。
あれ?なんで俺、目が覚めたんだろう?
「やばい!」叫び声が出た。
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