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失われた学校、村、道、鉄道を訪れた日の記録


その島は滅びず 無人島浪漫紀行 第9回


           
この上の写真をあなたは何だと思われるだろうか?
私が今見ている光景である。今回の旅で最も興味を持たされ、もっとも胸を痛ましめた建物に残されていた物なのだ。さらに一部分を拡大してみる。




この写真を見ればお分かりになるだろう。

書いてある文字・・・。

そうここは・・・・・・。



私たちがまさに今晩一泊するためのテントを張った学校なのだ。

三学年しか記載していないところをみると中学校の職員室なのだろう。各学級名と担任名が書かれている。

   
ここが学校であることをあらわす資料が棚の上に乗っていた。
                   
懐かしい文字が見える。「テスト」。


私の耳に遠き日の歌声が聴こえてきた。これだけの大きな建物ばかりの島だ。子どもたちの声もたくさん響いていたことだろう。
私はさらにあたりを見渡した。

これはいったいなんだろう?
レジの機械?それともタイプライターだろうか?
学校だからレジということはあるまい。ならばタイプライターなのだろう。ここでプリントを作っていた先生は今どうしているのだろうか。






写真後方のドアから廊下へ出た。
ここは職員室の様だが、次は子どもたちの息吹を感じる教室を見たい。









     
期待を裏切られることはなかった。ここは教室なのだ。

見覚えのある広さの教室に大量の机と椅子が積み上げられている。どれもが懐かしい生徒用の机と椅子だ。
学用品のデザインは何年も前からあまり変化がないのだろう。私が子どものころにつかっていたものと同じだ。


それにしてもどうしてこんなに一箇所に机が集められているのだろう?
島を離れるときに、それぞれの机と椅子をみんなでよせ集めたのだろうか?私たちが学期の終わりにやったように・・・。

学期の終わりの教室掃除(たしかワックスがけをみんなでした記憶がある。)は、再びその場所に戻ってくることを目的とした行為だが、この島を離れる直前の子どもたちは戻ることを許されなかったのだ。どんな思いで教室を整理したかを想像すると胸が痛む。





先ほどのテントを張った場所に戻ってきた。
「では、ここで案内はいったん終ります。ここからは個人で行動してくださってもかまいません。ただし、単独行動は避けてくださいね。どこかに落ちても気づくことができませんから。」
引率者のSさんがおっしゃった。


時刻は五時少し前だった。もうすぐ日が暮れる。少しの時間も無駄にしたくない。ずっと行動を共にしていたtakさんとすぐに歩き出した。



「この裏にも大きな建物がありますよ。」takさんがおっしゃった。
学校の裏にある大きな建物といえば・・・・・・?




期待を裏切らない光景が広がっていた。
       
体育館である。ここは1970年に完成した、島でも最も新しい建物の一つだそうだ。だが、いまは床がバリバリに割れてしまい、壁もめくれている。



さらに裏の建物に向かう。ひときわ小さな建物の中に入った。学校よりも一回り小さな廊下が伸びている。
入ってすぐ横の部屋には古びた看板がかかっている。




廊下はまっすぐ伸び、やがてある異様な雰囲気を持った部屋にたどり着いた。中には大量の瓶が箱のまま残されていた。これはいったい何につかわれたのだろう。

                 
瓶の山は私の背丈くらいにまで積まれている。
この瓶と上の看板から、あなたはこの建物が何かおわかりだろうか。




病院である。看板には「医師」の文字があった。瓶は薬品を入れたものだ。


私たちは最後にある部屋に入った。
「本で見たんですけど、手術室のライトがまだそのままで残っているそうですよ。」私はtakさんに向かっていった。
「それはぜひみたいですね。」
手術室のライト・・・・・映画やドラマで見たことはあるが実物は初めてだ。

私たちは期待を込めて、手術室と思われる部屋に入った。



「・・・・・・・・・なに、これ?最悪やん・・・・・・。」二人は同時に絶句した。
ライトが・・・・・・・・・。

立ちすくむ私たちに一日の終わりを告げる夕日が赤い光を投げかけている。
通路の向こうには隣の建物がなにもしらないのだろう、平常心でたたずんでいた。

                                      
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