俺の頭上で輝け!南十字星 

日本最南端への旅



 第23回   最南端の海をみた


今日は何月何日だろう?
旅をしつづけているとこうなる。


24に区切った時間には敏感になり、

日付はどうでもよくなってくる。



日が暮れるのはもったいなくて、日が昇るのはすばらしいことに感じるが、
土曜日だとか、うっとうしい月曜だとかの感覚は消えうせる。


が、明日帰るんだ。思い出してしまった。さっき飛行機を見たからだろう。



そうおもうと今目の前にある道すら貴重なものに思えた。

もう二度とここへはこられないかもしれない。
この道とその周りで揺らいでいるサトウキビたちはこれからもずっとここにいるのだが、
12月29日に訪れた俺にとっては一瞬のものなのだ。







この道の向こうにみえたもの。


あまりに美しすぎて言葉がでなかった。
数キロの深さであっても水底が見えるほどの透明度である。








西の浜とかいて「いりのはま」と呼ぶその海岸(決してビーチではない)は
これまでの人生で見た中で、もっとも表現が難しい美しさを持っている海辺であった。



また職場からの電話がかかってきたが、
旅人の俺は気づいていない(ことにした)。






もっと言葉にできなかったのはこの西の浜の夕景である。



数時間後ここを再び訪れた時に見たもの。



空の色も海の色も砂浜の色も、これまで見たことがない色彩で輝き、
波の音もまた深みを持って地球に鳴り響いていた。
波打ち際の曲線はあまりにも美しく、そこへ神の血の色をした赤い光が舞い降りている。

いつまでもそこにいたかった。


           

           
その思いのとおり、私は夜がくるまでずっとこの海岸で、暮れてゆく神の空と、沈み行く太陽と、
そして遠くまで届くほど幾度も呼び続ける海を見続けた。




もう思い残すことはない。
日本最南端に立ったのだから。
こんな美しい光景を見られたのだから。




そんな気分だった。



とはいえ、もっとも妥協できない存在がその島にはあった。




やっぱり最後の目標を実現させよう。






明日の早朝、




俺の頭上で





   南

  十  字

   星



   は

   輝

   く

   !


 

   次回、大切な想い出のつまった・・・最終回。



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