俺の頭上で輝け!南十字星 

日本最南端への道





 第9回 最低の日記より、もっと最低の日記    

(予告)今日は前回以上に最低の日記を書く。


ぶろろろろ・・。
バイクの音が弱弱しい。俺の心もすんげえテンション低い。


そうだ、最後の救い、

俺の旅には欠かせない最重要アイテム。

それは温泉!



西表島には日本最南端の温泉があるのだ。
「日本最南端の温泉」へGo!



ついた!



入った!



すぐ出た。



普通の温泉だった。
景色こそ南国っぽいが今のおれのひくーいテンションを高めるパワーはなかった。

なにより巨大な露天があるので入れるかと思ったらそこは
「ただいまの時間テレビの撮影中のためご遠慮いただいております」そうだ。
こっそり撮影。






美しい景色を見ながらバイクを走らせるも、もう気分は不幸のズンドコだった。

あかんねえ、今日は。
ボートもえんがちょやったし、森もえんがちょやったし、動物保護センターも温泉も・・。


道路標識までがこうみえた。







よおし!最後の望みである温泉がえんがちょだったので、
最後の次の望みを見つける。

めざすは由布島!


牛車に乗ってわたる美しい島だそうだ。



こんどこそ、こんどこそ。
バイクを思いっきり飛ばした!







由布島到着。


受付でお金を払うとなぜか赤いバラをもらった。
個人の人はこれを胸につけてね。」
「あれ?どうしてですか?」
団体と区別しないといけないからね。」
嫌な予感がする・・。




しかしその予感は果たして当たりだった。



数十台のバスが駐車場を埋め尽くし、続々と人が降りてくる。

由布島へ渡るにはここから牛車に乗り換える。
海岸には牛車が待機していてそのどれかに乗るのだ。

「○○観光のご一行〜!ようこそ、どうぞこちらの牛車にお乗りください。」
「○○ツアーのみな、こちらです!」

係員は団体を次々と誘導していく。
俺より後から来た人がどんどん牛車に乗り込んでいく・・・。

いつか声をかけてもらえるだろうと思い、じっと待った。



待った。






20分経過。






まだそのまま。






あたりには同じように赤い花をつけた人が取り残されていく。
さすがに係員に聞いた。
「個人客はどうすればいいんですか。」
「あのあたりで待っててください。」

ずっとそうしてるんだけどなあ・・。


係員の人ももちろん個人客に悪気はなく、次々とやってくる団体客の添乗員に書類を受け取り必死でそれをさばいている感じだ。
俺が係員でもそうするだろう。
もはや腹立ちも何もなく、ただ金のあるところを中心に世の中は回っているという、
とっくに認識している事実を改めて感じていた。







「赤い花をつけた方、どうぞこちらへ。」ようやくだ。
お待たせしましたとの言葉も何もなく案内された。待っていたのを知らないのかもしれない。



牛のゆみちゃん。女性。


牛車はゆっくりと進む。海を渡っているのだが完璧な遠浅のため歩いてもわたれるくらいだ。




そこは植物園だった。
予備知識なしでわたってきたので無人島みたいなのを想像していたので、おどろいた。

まずは食事をしよう。食堂に入った。またえんがちょされた。
「恐れ入ります、こちらのスペースは団体専用ですので、個人のお客さんはあちらで。」
さよか。「様」と「さん」の違いは何でございますか、店員様。


食った飯はうまかったっす。
これで1000円だから安いものです。

食事の後島の中を歩いた。植物園と小さな動物園が組み合わさっている。

中でもこれがよかった。

黄金色のさなぎ。


確かに団体向けの島だった。



気づけば一日が終っていた。

昨日までは「一日よ、おわるな」とか何とかいってたのに、
今日は「あ〜、おわったかあ、ふーん、そう」てなもんだ。


そして気づけば宿についていた。


きれいな部屋。
普段のピースケならここで「畳様、布団様!」などとほえているところだが、
今日に限っていえばそこに魅力を感じず、むしろテントと寝袋と焚き火が懐かしかった。
でも小さな旅館だからあの様のつく集団には出会わなくて済みそうだ。

フロントの人に呼び止められた。
「お客さん、お風呂は早めに入っておいてください。」
「あ、そうなんですか?」
「もうすぐ、団体がおつきになりますので。」
「うぎゃお!」


その日の食事。

でも、
こっちのほうがいいなあ。


背後ではもちろん「」で呼ばれる人たちがドンちゃん騒ぎしている。

この充実度の違いは何だろう。

自分の手でカヌーを漕ぎ、キャンプ場で行きずりの人と飲み交わした昨日。
団体様の後塵を拝し続け、きれいだけど独りで寝る部屋。


どっちがよいとか悪いとかのランキングなどつけられまい。
どちらにもそれを欲する人がいる。

そして今の私は片方にのみ価値を見出していた、そういうことである。


夜9時には布団に入った。(お布団様である)。
昨夜は深夜までダイスケ氏たちと語り合っていたのになあ。
寝るぐらいしかすることがないのだ。









おやすみ・・・・・・・・・。












わはははは!!!

        

隣の部屋で

団体客が騒ぎ出した。



         





うるせー!  ぼけー!!
どこまで俺を苦しめるねん。


こうして最低の一日が終ろうとしてる。



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