俺の頭上で輝け!南十字星 

日本最南端への道





   第7回 最高の場所    

表題どおりである。

私の言葉など及ばない景色があった。



    
               俺の見てきた中で一番好きな夕景。




        誰もいない この場所 僕の声を聞いてほしい
              そう願い込めて
         僕は初めて孤独の恐さをかみしめた

       あぁ それでも人は出逢いを求め別れに涙して
        続くどこまでも探し歩いてくこれからもずっと
         たとえ弱くはかない小さなくず星でも



なぜかゆずの「くず星」が心に浮かんできた。
あまりに美しい夕陽とそれに照られている海を見ているとなぜか無性に悲しくなった。

俺は実は

何かの答えを求めて遠くまできた。


答えはまだ出ていないけど、

ただ今は寂しさだけを少し感じていた。




バイクに戻った。








・・・・・・・、












こら〜!







またやられた・・・。



僕の大事な・・・・・・


大事な・・・・・・・


独りだけど、せっかくのイブなので食べようとおもっていた
チキンをが・・・・・・












カラス君が一生懸命食べていた!



スーパーの袋が引き裂かれていた。

二日連続で俺の食料、カラス君にお接待してしまった・・・。



キャンプ場に戻りダイスケさんにそのことを言うと
「カラスは賢いですよ。どんな袋に入れて隠していても食べにきますからね。」






石油ランプに灯がともった。

豪華テレビはなく、ただおじいの持ってるラジオから聞こえる国営放送がそこにあった。


「みんなで食べましょう。」
ダイスケさんはダッチオーブンでチキンを調理していた。
夕方から仕込みをしていたそうだ。

おお!

俺のはカラスに食べられたけど、こっちのほうが断然おいしそうだ。


チキンでかんぱ〜い!




        
このチキンとオジイにもらった汁、そして缶詰のいわしをぶち込んだご飯が
イブの夜の俺のディナー。







今日も五右衛門風呂を沸かして入った。



そしてそのあと・・・・・・


銀マットを草むらに広げて横になった。


頭上には、いうまでもなく満天の星。
豪華ホテルの豪華シャンデリアよりこっちのほうがずっといい。



12月なのにこんなことをしていられる。
ここでこうしていられる。そして今日を過ごせた。
そう思ったとき、自分が幸せを感じていることに気づいた。

なんでだろう?
さらに思考を続ける。



12月なのにぬくいところにいるからだろうか?
だから幸せを感じている?



なんか違う気がする。



確かにこんな日に独り旅をしているのは寂しいことかもしれないけど、
でも寂しさを感じているからこそ、俺はここまで来たのだ。









寂しいからこそ、



一度の出会いに心を震わせることができるのだ。










そして今回もともに旅を語れる人にであった。

ダイスケさんともオジイとも、もう会えないかもしれないけど、



二人とも「寂しいからこそ旅をしなさい」と





俺に教えるために、ずっとずっと昔から





ここで待っていてくれた人のような気がしてきた。













あのカラスだって俺に何かを教えてくれるためにこの島にいたのかもしれない。





そして、これからもいろんな人がいろんなことを俺に感じさせるために





どこかで待ってくれているかもしれない。





今もどこかでこおろぎとカエルが鳴いている。





二日目の夜がおわった。

       
       俺の旅人生に残る会心のショットとともにつづく

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