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 実況中継中 

 再び
南の大陸へ! 九州自転車極寒の一人旅
                             
第4回


トンネルを出てもそこにはゴミしかなかった。
なぜかブルルルルという重低音が聞こえてきていた。
幻聴と思いじわじわと体を進めた。








「おい!」



ふいに声がした。
重低音は川の水をポンプで汲む音であり、「おい」という声は作業服を来たおっちゃんだった。

「君、なんか危なっかしいな。具合悪かとか?」
このフレーズどっかで聞いたなと思ったら映画「十五才 学校W」での丹波哲郎のセリフだった。あのあと大介少年はおじいさんの家にいったんだっけ。
そんなことを考えていたらまたおっちゃんがこういった。
「この先ののぼりが一番きついけん気をつけな。」
「は・・・・・い。」俺は声が出なかった。

チャリを押して進み始めた。





「おい!」




また呼ばれた。
「乗らんか!」おっちゃんは荷台を指差している。
「その自転車はここに乗せればよか。君を見てると心配でしょうがない。じゃが、もう少しまっちょれ。」

おっちゃんは水を汲むポンプを片付け始めた。私はその場にへたり込んだ。

「待たせたな。自転車かしなさい。」
「い・・・え、ぼ・・・・・くが・・・・・やります。このチャ・・・リ重・・・いで・・・・・す・・・し・・・。」

「まかせな。」おっちゃんは片手でチャリを持ち上げた!

私は助手席に座らせてもらった。

狐に包まれた感じだった。でも・・・・・でも・・・・・・助かった!!
マジでこんなことあるんだ。ぎりぎりの状態で誰かが乗せてくれるとは思わなかった。

「兄ちゃん、どっからや?」
「は・・・ひ。おさかで・・す。」マジで声が出ない。
「そうか、わしも大阪に学生時代おってな、大阪のD大学の夜間でとるんや。それより兄ちゃん、学生か?
「はい・・。」うそをつくつもりはないけど、できるだけ短い単語でしか答えられなかったのだ。

「もうすぐのぼりきる、そこでおろしちゃるけん、それに少しいったら自販機がある。」




車を降りた。お名前を聞いたが手を振っておっちゃんはどこかへいった。
仕事の途中だといっていた。名刺すら渡せなかった。

目の前の看板にはあと24キロを示す文字があった。
あれは遠いのか、短いのかわからない。

ただ足元の下り坂だけが救いであることが判断できた。

数時間ぶりのくだり。寒い!でもどうでもいい。


おお!神様!

いや、



自動販売機様!!!!!!!!



俺の体はほとんど機械のように動いた。いや、心が機械的に自動で動いた。

必死で金を入れた。どれをのむか?機械の心が機械の手を動かしコーンスープ様を購入し、機械的にプルトップを開け3秒で飲み干した。
体はまだ自動で動く。ココアを買いまた飲み干した。
これで終わらず次はQOOのアップル。
ようやく人心地ついた。糖分が体に染み渡るのがわかったのだ。が、まだ手が動いてミルクティーを買っていた。
ミルクティーを飲んだ直後にまたコーンスープを買ってのみ、最後に壮健美茶を買っていた。

いったい何本買ったのか?計算すらできない。

気づくと二人の郵便配達のバイトをしている学生が私を見下ろしていた。
「大丈夫っすか?まさかこの山を降りてきたんじゃ??」
「そうですよ。志布志からこの山を越えて。」
「うわ・・。この山をチャリで越える人はいないですよ。道中何キロも店がないし傾斜はきついし。北のほうにもっと楽な道がありますからね。」

そうなのか。

彼から、この先にある店や道の勾配を教えてもらい分かれた。もっとゆっくりといろんな人と話をしたいが、みんな仕事中の人ばかりなのだ。
でもそれでいい。このかなり変わった旅人が、鹿児島の幾人かの心に残ってくれれば・・。
それこそ旅に出た甲斐があるのだ。

さっき後悔をしていた感覚が消えていた。
そしてこの概念も戻ってきた。

ただいま15:25。




このあと私は無事に ユースに着きました。

夕食をいただいたときに浮かんだ言葉。
おご飯様、お味噌汁様、エビフライ様、コップ様、箸置き様、全部に感謝した。

明日、佐多岬!ただし大雨の予報!

ただいま21:50。

おやすみなさい。

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