南の大陸へ! 九州へ、自転車で、
極寒に一人で・・・第1回
ガタガタゆれる風呂に入りながら考えた。
「つい昨日までだらだらと仕事をしていたのに、今はこうして船の中の風呂に使っている。不思議なことだ。」
もうすぐ明石海峡大橋をくぐるそうだ。だが、この熱い風呂からはそれを拝む余裕はない。フェリーの風呂は必ずといっていいほど熱い。やはり昔の法律のままなのだろうか。まさか客の出入りの回転を早くするためにそうしてるわけでもないだろうが。
さらにこうも考えた。「いったいどっちが俺にとって現実なのだろう。仕事?それとも・・・。」
この夏、遍路で偶然お会いしたお二人。九州の清水住職と檀家の息子さんの啓太君。
こともあろうに住職のご好意で一宿一飯のお接待をいただいた。私の旅人生史に残る出会いである。
お二人のことをどうしても忘れられなかった。もう一度会いたい・・・・・・。
でも遥かかなたの九州だ。アクションを起こさない限りは絶対にあえないだろう。
アクションを起こさない限り・・・?
簡単だった。アクションを起こせばいいのだ。
かくして私の九州旅が始まったのだ。
コースは決まった。別府港までフェリーで行く。
湯布院から南下していくルートだ。
問題は天候である。この寒さと雪だ。残念ながら阿蘇などの山間部や内陸部は断念した。
でもいい。旅は全部すばらしいのだ。
南港18:50発のフェリーだ。16:00に家を出ればいいだろう。余裕、余裕。
・・・・・・・・・・・・・・・・とおもっていたのも途中まで。
ちゃりがいっこもすすまへん。風が強すぎるのだ。
あと50分ほどでフェリーが出ちゃうのにまだ大和川の手前にいた。
ただいま推定17:30ぐらい・・・?(時計を見る暇はなかったんだよ〜)
滑り込みセーフで受付を済ませた。
ユースホステルの会員は20パーセントオフである。
帰りのフェリーに九州ラウンド割引を使おうと思ったがそれは正規の値段の場合だけであった。でもこれは10パーセントオフなのでユース割引のほうがいいのだ。
トイレの鏡で自分の顔を見て驚いた。これでもかというぐらいに真っ赤になっている。
冷たい風と必死のちゃりこぎのせいだ。
フェリーに乗り込むとき海が一瞬見えた。黒い海はやはり人にとって恐怖である。
アメスケをくくってくれた係員のおっちゃんに言われた。
「えらいきれいな自転車やな。」
「初乗りなんですよ。」
「ほな丁寧にくくるで。」
おおきに。
丁寧にくくられたアメスケ。
ふつうの方は落ち着いて船室でおくつろぎになるのだろうが、私はそんな落ち着くなんてできない。
即船内をうろつくにきまってるやんけ。
これは死ぬほど寒い甲板にて。船の名前がわかりますね。
もっと寒い上の階の甲板にて。
ただいま19:00。
明日早朝別府着!温泉はいりまくります。
広間でこれを書いていますが、禁煙なのに横のおっさんがタバコ吸ってる。
ええい、煙い!
そういうことをするからさらに禁煙エリアが広がることに気づかないのかな?
船の中は暑すぎました。逆に外はすっげえ寒かったっす。と、おきた途端に甲板に散歩に行ってしまった。
眼下の海は真っ暗で、頭上の空は真っ暗だが、前方には小さな光が見える。
時間的にももう九州大陸がみえるころだろう。
だからあの光は私の今回の目的地だ。
すでに真っ暗な今を朝として、歩いている旅人がいるだろう。自転車に乗っている人もいるだろう。
俺もこれからあの大陸を旅するのだ。
そう思うった刹那、九州から巨大なこぶしが出てきて私の心臓をぎゅっとつかんだのがわかった。
ただいま24日午前5:40
着岸直前の写真。
あれが九州や!
そして着岸直後に見えた風景。
今はフェリーターミナル。
まずは山の上の秘湯探しに行きます。
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