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                                                                             特別企画                  
                 

   シリーズ第一弾  

    高原の無人の峡にて一夜を明かすぞ旅 最終回



-------------第6幕 敵が潜んでいる------------


その土地は決して命の息吹がないわけではなく、むしろ虫や鳥やその他の小さな命たちに満ち溢れていた。
かつては人でごった返していた駅が、今は誰もいない。
人が踏み入れたのは何年前だろう。



昨日はよく見えなかった駅のホームがもうすぐ壊れそうな様子でそこに存在していた。


木造のホームを初めて見た。





                 
                    あ、こんなところにレールのあとがある。

写真には写っていないが、実はこのレールの上にマムシが乗っていた。
考えればよく夜中に素手であちこちを触っていたものだ。

また歩きだす。

なんか落ちてる。


「自販機かな?」
「なんかちゃうみたい。多分、ジュースを入れる冷蔵庫や。客がガラス扉を開けて取り出してたんとちゃうか?」

文明の利器だって人が訪れなければこうなってしまうんや。その内部にまで植物が入り込んでいた。


「うわ、これすごい。」
                

「ビンに入ったジュースが落ちてるわ。
でも、これはなんていうジュース?」




誰も知らない飲み物だった。
            




なんだか悲しくなってきた。
正確に言うと淋しさがおそってきた。
誰もいない場所の寂しさの比ではない。
かつてにぎやかだった場所が、二度と誰も来ない場所になってしまうということ。
言い知れぬ寂しさをおぼえた。






「うわあ、やっぱりあった。」
                   

ホームの大半は朽ちてしまっても、トンネルはさすがに強固な状態を保っていた。

「なあ、どうするん?」
「中も気になるけど、さすがにちょっと気後れするなあ。」
「やっぱりね。」
みんな同じ気持ちだった。
怖さと不安と、そしてなにか神聖な土地に踏み入れる、そんな畏敬にも似た思いがあった。

「ここまできて引き返すのもなあ。」
「そうや!まずは誰か偵察に行こうぜ。」
「偵察って何のため?」


「敵が潜んでるかもしれんやろ?」


「はあん?」

そんなあほな会話をしながらも、誰の足も止まることなくまっすぐトンネルに向かっていた。
前へまっすぐ・・・。


そのまま吸い込まれて・・・。

                   


何も見えず、音もせず、ただ我々の足音だけが響く。


              
    

「おい!あんまり足音を立てるな!」

「なんで?」

「だから敵が潜んでるかもしれないじゃないか!」

「だから・・・敵って誰やねん・・?」





真っ暗な空間が続く。


「おい・・・、やばいぞ。」

「おどかすなよ、なんやねん?」

「俺ら以外の第三者の足音が聞こえないか?」

「やめい!」

「いや、マジや!不気味な女の足音が聞こえるぞ!」



「なんで足音で女ってわかるんや・・・。」








あ・・・・・。



         


向こう側が見えた。



真っ暗な中ですごしてたため一瞬幻惑される。


「助かったぞ!遭難せずにすむ!」




          




  
「俺ら、遭難してたんかい!?」











外へ出た。



すーっと体の力が抜けるのが分かった。
あほな会話をしてはいたが、やはり真っ暗なトンネルを歩いたことへの不安を感じていたようだ。






「わ、すぐそこに・・・・・・。」









    
次のトンネルが口を開いていた。




「どうする・・・?」



「あのトンネルは・・・・・



俺達を招いている・・・。」アホがいった。





「でも、時間も遅くなるし引き返した方がいいんとちゃう?」一番、懸命な彼が正論を言った。


「そうやな、危険な目にあわないうちにかえろう。」意外ともう一人の彼も懸命なようだ。
「敵に会わないうちに帰ろう。」やっぱりアホやった。







---------------第7幕  さよならは言わない--------------


キャンプの全行程で最も辛いのは何か?
それは雨でも空腹でも暑さ寒さでもなく・・・・・


後片付け。(←みなさんもそうでしょ?)



「ぐえ〜、めっちゃ荷物ある〜。」
一気に凹む。


だらだらと・・・・・




必死に片付けて・・・・・、









最後にホームの上で写真を撮った。


こうしてみると、確かにものすごい深山の中に駅があるのが分かる。
よくこんなところで一夜を過ごしたものだ。
敵にも襲われず・・・・・。





車もちゃんと昨夜と同じところにあった。





昨日の夜、必死に進んだ山道を行く。
「よくこんなところを通ったな。」
「にしても一瞬やったな。企画には長い時間をかけたのにもう帰るとは・・・。」
「辛いね。明日仕事?」
「・・・・・・・・・・・うん。」



さっきキャンプで一番辛いのは後片付けだと書いた。



しかし・・・・・・・・・



本当に辛いのは後片付けではなく、現実に帰ることなのだ。(←絶対に皆さんもそうでしょ?)





やだ!





「だから一気に行こう!」
「行こう!」

「でもどこへ?」
「そうやな・・・・・。あの村はどうや?」

「おおおおおおお!!!いーねー!!」


「行こう、行こう。また今日みたいに無人の土地で野宿をしよう!」




俺達の現実は目の前に迫り、季節も冬がすぐそこにやってきていた。
そして俺たちは現実をふっとばし・・・・・・



また アホな 無謀な旅にでるのだ。



じゃ、その日まで。





最後までこの話をお読み頂きありがとうございました。




  次回予告


   

  第2弾  寒すぎ!真冬の無人村で一夜を明かすぞ!!
                                                近日公開

         このシリーズの目次   



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