特別企画 |
シリーズ第一弾
高原の無人の峡にて一夜を明かすぞ旅 第6回
---------第5幕 不思議な空間-----------
私たちはいま虫の声に包まれている。
見上げると月が出ていた。さっきからそこにあったのかもしれないが、私たちはここへついてから下ばかりをみていて気づかなかった。
目の前には、
焚き火の光がある。日常では絶対に見られない光。
焚き火こそ野宿の醍醐味。
(おお、世界の幾万人の同胞の賛同の声が聞こえる!)
むろん地面で燃やしてはいない。この日のために買った焚き火台をつかった。
それでも私たちの心を高揚させるに十分なそのオレンジの炎。
近くにいくらでも落ちている細枝を放り込むたびに、木のはぜる乾いた音があたりに響いた。
すでに2時近くになっていたが興奮して寝られそうになかった。
月明かりのおかげで周りの様子がある程度見てとれる。
遠くの稜線までもが見えた。
写真ではじめて気づいたがこんなところまで高圧線が来ていた。
焚き火を見つめ、月明かりに照らされ、虫たちの声を聞きながらいろんな話をした。
今日の行程のすごさに始まり、
女性がいたら絶対に聞かせられないような話まで。
すんでいるところもこれまでの生きてきた道も、何よりこれから進む道もまったく違う三人だが、
一つだけ共通点があった。
自然と旅のはなしになった。
「今まで行った中で一番好きなところはどこ?」
「屋久島かな・・。」
「俺は琵琶湖やな。」
「じゃあ、一番いきたいところは?」
「実は遍路に行ってみたいねん。」A氏が言った。
「あれはお勧めやで。歩いてるといろんな人と出会えるし。」
「いや、俺はチャリで行きたい、どんな旅でも。」彼は生粋のチャリだーであった。
「そういうピースケは?」
「俺、実はインドを旅してみたい。でも無理やろうな・・・・・。」
「何でインドなん?」
「俺、一回でいいからガンジス川につかりたい、ほんでマザー・テレサの肖像を見たいねん。」
「そうか・・、多分実現できるよ。」
人里はなれた高原の無人駅には、
今、透明な空気が流れている。
この不思議な空間にいる僕たちにも、僕たちの周りにも。
頭上の月明かりはまだまだ元気だった。私たちも旅の話で高揚していた。
でも朝がすぐそこまで迫ってきたため、体を休めるためテントに入った。
さすがにつかれた。泥のように眠ろう。
「明日は昼過ぎまで寝ようぜ。」
「もちろんや。こんな気持ちのいい場所はないもん・・・。」
午前3時、就寝・・・。
おやすみ・・・・・・。・・・・・おはよう。
午前7時、起床!! |
このシリーズの目次
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