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絶海の孤島 南大東島を旅する


        最終回 地底へ 





こんな道を進む。


たどりついたのがここである。
入り口でチケットを買うと、お姉さんがラジカセ(いったい何年ぶりに見ただろう。カセットテープを入れて聞くのだ)を渡してくれた。
これがガイドである。

入り口からしばらくはコンクリートで固められた道が続く。

一枚の扉を開けた。



この島は地上が別世界の様相であった。
そして地底もまた別世界だった。

         
             このすべてが鍾乳石!





カセットテープの案内に導かれて進む。次々と別世界が訪れてくる。

この小さな島の地下に言い知れぬ世界が広がっていたのだ。



来てよかった。
いまさらではあるが、来てよかった、
そうおもった。






そして今夜で島の滞在も最後だ。

実のところ、二日間で島をほぼ走りつくしていた。
だが日を変えれば同じ場所が表情を変えるのだ。

海は昨日より透明で、


断崖は昨日よりも荘厳で、

人々は今日をいつくしんでいた。
そうだ、明日は5月5日だった。

実生活ではこいのぼりをあげることなどないが、旅に出るとこうした行事に敏感になる。
そして一日の重さを感じるのだ。

そんな感慨にふける私の目にかわいらしい店が映った。

             島の人の生活をこの店は支えてきたのだろう。



不意に線路が現れた。

もちろん今は使われていない。かつてサトウキビを運ぶために使われていた線路である。
この線路だって島の人々の生活を支えていたに違いない。



また、



背景が暗くなる。

俺は今どこにいるかって?


そう、またまた洞窟である。
今度は観光化された鍾乳洞ではなく、完全な漆黒の闇に閉ざされた洞窟へのケービングである。



        
受付も何もなく、畑の中にこんな入り口がある。

そして俺はその中へ入る。

こんな道である。もちろん一人で行ったわけではなく地元の人と一緒に入った。
それでも恐怖感を感じる。
足元が非常にもろく、頭上の鍾乳石は鋭くとがっていた。





汗びっしょりになりながら進んでいくと、果たしてそこにはめったに見られない光景を得ることができた。




こ、これは!









       
                      
南大東島の地底湖

数億年も前からこの湖はここにあったのだ。
水面に描かれる斑紋は鍾乳石から落ちてきたしずくによるものであり、その一滴一滴が湖を生み出しているのだ。


地上に戻った。




いつしか日は落ちていた。
ただの夕闇すらここまで美しくなる島とはいったい何なのだろう。





そしてともに洞窟を探検したSさんともここでお別れをした。







げ?


今何時?



明るいし、朝?



うわあ、やってしまった。
興奮しすぎてつかれるあまり、いつの間にか眠ってしまった。
せっかく最後の夜を楽しもうと思っていたのに。


わわわわわ、気づけば車に乗っている。

げへへへ、あそこに見えるのはなんだ?空港?なにそれ?


なんか見えるぞ!あれはなんだ?
これに乗ったらどこへいくのだろう?



きゃ〜、なんか回ってる!
浮いてる!
俺はどこへ連れて行かれるのだろう・・・・・・・。わからない・・・・・。





って悪あがきはやめよう。



なぜならこの三日間は充実していたから。
現実に帰ったとしても、この猛烈に魅力のある島を訪れたという事実は変わらず、私を励ましてくれるだろう。
第一、もう関空へついてしまったではないか。

数ヶ月前に私のワクワクセンサーを刺激した島は、センサーの感度いっぱいに素敵なところだった。
旅中何度も繰り返し感じた言葉がまた心のどこから乾いてきた。

「この島へ来てよかった」と。



残念ながらものすごい絶海の、ものすごい孤島である。
もう二度と来られないかもしれない・・・・・・・・。





あ?


そんな感慨にふけっていて、すごいものを見つけてしまった。













ポケットの中に








                     宿の部屋の鍵が入っていた。



おお、南大東島よ!
俺にこれを返しに来なさいと呼んでいるのだろうか?
宿に迷惑をかけるわけにはいかない。
もう一度行かなくてはいけないではないか。


それならば、望みどおり俺はまた南大東島へ戻らねばならない。
そして、いつ戻ったとしてもあの島は美しくいつくしみ深いままであると確信を持てる。



いつ戻れるかはわからないけど、南大東島は間違いなく俺の聖地であった。




                                              鍵を返しにいくいつの日にか つづく


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