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               限界のそのまた先へ 紀伊半島迷いの一周 2




                        「あんなあ、お前の昼間の自信たっぷりの電話はなんやねん?」


                        窓の外からはすごい音が響いてくる。

                        バケツをひっくり返したような水が天から降ってきていた。さすがに

                        しゃれにならない・・。

                        「こ、これは俺らが出発しだしたらやむよ・・・。」

                        「やむかいな。まあええわ。どうする?」




                        出た結論は出発であった。休みは無尽蔵にあるわけではないのだ。

                        そして二人は私のあらぬ自信を信じたのである。


                        7時45分、私がついたころにはDが集合場所にすでにいた。

                        普段会っているやつでもこれから数日苦楽を共にする仲間だと思うと

                        大変な親しみがわく。

                        私は、心から親愛の情を込めてヘルメットを脱ぎ彼に行った。

                        「やあ、戦友、これからよろしくな・・。」



                        Dの顔は引きつっていた。




                       「あのさ、何固まってるん?」

                       Dはまだ無言。



                       「どないしてん・・・?」

                       「お前、何乗ってきてるねん。それ原チャやろ?」

                       「そうや。前から乗ってるやん。」

                       「俺らはバイクで旅に出るんやろ・・?」

                       「だから、バイク・・・・。」

                       「え〜!原チャで紀伊半島一周するんか〜!?バイクって言ってたやろ?!」

                       「だからバイクやろ・・。」

                       見解の相違というか、Dの頭には



                 原チャ≠バイク=中型以上   であったのだ。



                       だが、私は

                      原チャ=バイク=それOnly   であったのだ。




                      これは後になって聞いたのだが、

                三台の中型バイクで颯爽と紀伊半島海辺を走る光景

                      心に浮かべていたらしい。









                      確かにね、電話ではバイクといっていたが、やっぱこれはダメなのだろうかね?

                      原チャではね。

                      めちゃ悲しかったっす。このときはさすがにへこんだ。どうなんざんしょ。原チャは

                      やっぱりバイクって言っちゃいけないんでしょうかね、みなさん。



                     その時Eが登場した。やはりというか、彼も大きなちゃんとしたバイクにお乗りに

                     なってこられていた。


               二人の排気量合計推定800cc>>>私のマシーン 50cc



                                              どうせね、僕はね・・。



                     さらに引きつった顔でDが言う。

                     「お前、足は原チャだけやな。やっぱ。」

                     「・・・・・・う、うん。」

                     DとEが顔を見合わせる。しばしの沈黙・・・。

                     何気なく二人は小声で会話を始めた・・・。私のところには言葉の断片しか

                     聞こえない。






                     が、不吉な言葉がちらちらともれてくる。






                         「やばい・・・・・・・まさかな・・・・・・・無理やろ・・・・・あかんよな・・・・・・やめさすか・・・・・・」







                    おいおい、なんやねん。「やめさす」って。






                   さらにつづく・・・・。すんげえ、小声で・・。



                   「・・・・・普通な・・・・と思うよな・・・。ふりきるか・・・・・・・・・。」




                   あんぎゃ〜?「ふりきる・・・?」何する気やねん。







                              「・・・・・・・・・・・・まこか・・・・・・・・・・・・・。」









           ま、まく〜!?





                   そこまでゆうか・・・・。


                   だが、振り返った二人は笑顔で言った。

                   「まあ、考えてもしょうがないから出発しようぜ。」

                   ・・・なんか、もれ聞こえてきた言葉とは違う素敵な内容であった。しかし、

                   私はいきなりかれらが標準語になったのを見逃さなかった。これは何を

                   意味するか・・?




                   雨はまったくやむ気配がなかった。

                   三台のバイクは、・・・・・いや、もとい二台のバイクと一台の原動機付自転車

                   は309号線を走り出した。



                    視界が非常に悪い。路面を跳ね上がる水がさらにしぶきとなり、上下から雨が

                    降っている感じであった。こんなときこそ安全運転である。そう思った私の

                    眼前に・・・・・


                     ひとりのじいさまが飛び出してきたのである。

                     あわててブレーキをかけたが・・・・・・・・・。











                           





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