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 みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記

                               2004年夏編 第14回





2004年8月12日   5時30分

いつもと同じように朝が始まった。目が覚めたとき、心にはさざ波すら起きていなかった。
私はいつも起きたとき、辺りの景色が目覚めていく様子を写真におさめている。そのほとんどが山並みであったり閑散とした田舎の集落であったりするのだが、この日だけは長い遍路旅の中でも例外と思える光景を見た。
                
もう6時だというのにまだ空が広漠とした灰色をしていた。でもこの方がいい。晴天はいやだ。
その下に同じく灰色の家々が自分の居場所を必死で確保するかのように押し合いをしながら眼を覚まし始めていた。

空気が冷たい・・・。嫌な予感がする。まさか、もうアレが始まっているのではないだろうな・・?






その宿には朝食プランがもともとないので、6時過ぎには歩き出した。都市部はこんなとき助かる。駅前にパン屋さんがもう起きていた。これでもかというぐらいたくさん買った。
旅を通じて、食べ物をいつも少しずつ余計めに買う癖がついていた。
                    
ちょうどいい、別格霊場龍光院がある。そこを今日の朝食場所としよう。ふもとに人がたくさんいる。朝市のようだ。


7時。本格的に歩き出す。
じわじわじわじわ・・・・・・・・・・・・
足の裏から音が聞こえてくる。もうなえるぐらいに足の裏が痛い。


さすがに町が起きている。いつもようにすれ違う人に挨拶をする。
が、ほとんどの人は挨拶返しをしてくれない。
都市部はそうなるのだろう。ここまでくれば、こんなことで傷ついたりはしない。これが普通なのだ。



私の視界から民家が少なくなり、道がその首座を奪い始めた。今の私の目には道しか見えない。
そして、

だら、だら、だら、だら、だら、だら、だら、だら、だら、だら・・・・・・・・・・・・

と国道が続く。

    

歩き旅に必要なのはやはり変化である。景色の変化である。気候の変化である。それにより人も変化し成長していくのだろう。



やがて道は完全な山に入った。直前に述べた変化を実感した。起床時より静まりかえっていた心に少しだけ光がさしてきた。山の向こうに隠れていた太陽が田園にも光を与えてきた。田んぼも眼を覚ましたようだ。

           

でも、もっともっと変化がほしい。すぐ横を予讃線が走っているが、鉄道を見たって心が和んだりはしない。なんか素敵な光景がほしい。



そう思いながら歩いていた。
ずっとまっすぐ歩いていたが、遍路看板が急に私を左に誘導した。


ん!

この光景、いいなあ・・。


今年の夏の旅で最もきれいかもしれない。

               

そしてそのきれいな景色にはやはり私がふさわしい・・・・・・。

               

なに?「もっとみたい」?
そうですか、それでは全国の女子高生の声援にお応えして、
               

などとアホをやっている場合ではないのだ。実は時間がそれほどないのだ。
歩き出して2時間半ほどで次の札所に到着した。

                        
                             41番札所龍光寺 8月12日 9:14着

このお寺はなぜかあちらこちらにネームラベルに書かれた注意書きがあった。

すでに太陽が頭の上に来ている。お寺を出発した。ふとなにかに呼ばれた気がして傍らの空き地を見た。

                                                                        


いくつものコスモスが咲いている。また心の中に光がさしてきた。秋が来ている。
決して好きな季節ではないけど、こうして自然が動いていることに気付くのは素敵だ。



子どものころ、一年中夏休みだったらいいなあと思ったりもしたが、
その気持ちは今も同じだ。
残念ながらコスモスの花が「もうすぐお前の有休が終わるぞ。」と宣告をしてきた気がする。
だから、こんな馬鹿なことを考えた。

「一年中有休だったらいいのに・・・。」


(おお、幾百万同胞の賛同の声が聴こえる!)


(学生の皆さんへ:註:有休とは有給休暇のことで、つまりは自分の都合で休んでいいよという権利のことっす。働き出すと細々と有休をとりながら旅をしないといけないんですよね・・・。)

             
田んぼも黄色くなり始めている。誰も秋の訪れから逃げることは出来ないのだ。



42番仏木寺はすぐそばにあった。とはいっても国道を延々と30分歩いた距離だが、これは遍路にとっては近距離である。
                        
                                    10:40着


小さなお寺だ。こんなのが好きだ。
山門のすぐそばにいたおっちゃんに話しかけられた。
「暑いねえ。お参りが終わったら下の休憩所においで。お餅をあげる。」
お餅は大好きである。
が喜んで降りて、頂いたのはなぜかモナカのおせんべいだった。愛媛ではせんべいをお餅というのだろうか?両方とも米菓子には違いないが。

これよりピースケは道中最大の難所、鎖場へ向かう。
で、鎖場ってどんなの?




      


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