みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
2004年夏編 第11回
今日は脚よりも肩の痛みがつよい。ずっとザックのベルトで締め付けられているからだ。重さを軽減するためにベルトを強めに締めているのはいいが、やせた私の肩には負担が大きいのだ。
そうだ、このエアサロンパス。脚が痛いときにはてきめんに効く気がする。リュックをおろし
シュ〜
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふんぎゃ!
いだい!
めちゃくちゃにしみる。これは普通ではない。
シャツを脱いでみると、血がにじんでいた。気付かなかった。ここまで擦り切れるか。重いリュックを持って旅をしている人の紀行文では、リュックのベルトで出血した話は聞かない。みんな、平気なのだろうか。
二度とエアサロンパスは肩にはふるまい、
どうでもいい決意を胸に刻み込んで歩き出した。
しばらくいくと国道56号線から遍路道は分かれている。山道とアスファルト国道。
どっちにしようか・・・。
迷わず距離の少ないほうを行く。したがって国道。
今日の空は怖いぐらいに青い。
その青さは今や歩く旅人にとっては凶器となり、狂気をまねいている。
身がじりじりと焦げていく気がする。
植物もぐっと亜熱帯の様相をましていく。
それでも
美しい海が私に気休めを訴えていた。
この道のこの部分を私はお気に入りに認定した。なぜなら稜線のうみだす日陰が存在しているから。
だが大半の道は私たち歩き旅人を狂わせる明るい日差しを受けた残酷なものである。
そんなつらい道でもここは出色の出来である。
内海トンネル。
ここはえらい。
なぜなら車と人が混在しているのが普通の道なのに、ここのみは歩行者・自転車専用の道があるからだ。
そのトンネルの出口もかわいらしい壁画で飾られていた。
日本中のトンネルがこうであってほしい。
が、税金が弱者のために遣われることはあまりないので期待はしない。今の税金は弱者が納め強者を利するためにある。
今日の終着点は宇和島だ。あと27キロ。
しかし、日常でこんなに歩くことはないよな。
歩き旅をしている人はきっと共感してくださるだろう。
炎天下の中の日陰のありがたさを。
そして道のどちらかにわずかでも日陰があればなんとしてもそこへいってしまうことを。
進んだ距離はわずかだったのに、行過ぎる時間だけはいつもどおりであった。
軽いめまいを覚えた。やばい、昨日の二の舞か。早めに休憩しないと・・。
でも、こんな風に日陰の欠片もない道だ。
それを見た瞬間の絶望感・・・。
通る人もいない。気付けば正午を越えていた。
ただいまの気温、35度。大阪よりおそらくは暑い。
えへ。
えへ。えへ。
えへへへへへへへへへ!
なぜかしらないけど、笑いがこみ上げてきた。妙に気持ちがよい。暑くて脳みそが煮えたのか?
そんな感じでもない。どこからか気持ちよさがわいてくるのだ。ランニングハイを聞いたことはあるが、歩いているうちにそれと同じ状況になってきたのだろうか?
腹が減ってきた。でも、食欲がない。
向こうに素敵なものが見える。Aコープと書いてあった。そこでパンとジュースを買って無理に胃の中に流し込んだ。
すぐに動く気にはなれず、じいっと店の前に座り込んでいた。
目の前に一台の車が止まった。中から中年の夫婦が降りてきて店に入った。数分後なかからその奥さんのほうが出てきて、
「これ、食べてね。」
その手には真っ赤な・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鼻血・・・・・・・・・・・・・・・・ではなく(紀伊半島の旅 参照)
カキ氷があった。
「ありがとうございます。」納め札をお渡しした。
頂いた氷イチゴさま。
一気に元気になる。
えへ、えへへへへ。
国道を離れ、へんろみちをいく。
えへ、えへへへへへ・・・・・。
まだ妙なハイテンションが続いていた。
日陰がない。傍らの川がにごっている。
すぐに国道に合流した。
まさに熱地獄である。頭上からの光線とアスファルトからの照り返し。
時計を見た。
ただいま、36度。まじ?
おれ、どうなるんやろ?
えへへへへへへへへ〜。
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