みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
2004年夏編 第3回
お遍路の先人たちの紀行文を読むと、みんなミラクルな時間に起きている。4時台、5時台は当たり前であり、6時なんつうのはあまりいらっしゃらない。
布団の中ではたしかに鶏の声を聞きながら、「あー、本のとおりや。俺も4時台に起きてやる。」と思っていたのだが、2度寝を華々しくしてしまった。
結局、6時10分前ににおばあちゃんが起こしにきてくれた。
そうや!角度的には海から昇る朝日が見えるとおばあちゃんが昨日教えてくれていた。
間に合うかな?外は結構明るいぞ。
間にあった!
これこそ旅の醍醐味だ。普段は朝は大嫌いだが、今は私が生きていることを実感できる時間なのだ。
朝食のあと、おばあちゃんが紙包みを持ってきた。
「これ、おにぎり。足摺で食べてね。」
え・・・。そんなことまでしてくれるなんて。ありがとう。
「バナナ食べられる?」
「食べられますとも!」おやつまでくださった宿はほかになかった。
最後に三人で写真をとった。おばあちゃんはぬいぐるみを抱えてでてきた。いつもオシャレでそしてかわいいおばあちゃんだった。
じゃあ、さようなら・・・・・・・・・・・・
とおもったらふたりとも私についてくる。足摺までの道がややこしいので途中まで案内してくれるそうだ。少なからず情が移ってるのに、そんなことまでされたらお別れしにくいじゃないか。でも、断れるはずもない。
おじいさんはカブで、おばあさんは徒歩でずっと私についてくる。
急な坂を下りると港に出た。
「これが昔の堤防よ。砂浜を埋め立ててしまってねえ。子どもたちの遊び場を港が奪ったの。でも高速船には誰も乗らなくて船もなくなってしまったわ。」土地の歴史を語ってくれた。
2キロ以上、おばあちゃんはついてきてくれた。でも、さすがに歩きなのでここでお別れ。「帰りに寄りなさい。スイカを冷やして待っていてあげる。」
でもおじいちゃんはカブで元気いっぱいに道案内をしてくれる。
「ここは造船所跡じゃ。」たしかにレールの跡があった。数キロ進んでおじいさんともお別れした。
二人ともありがとうございました。誰もいない道で、旅路があると思われる方角へ向けて頭を下げた。
しかし足摺へはこんな感じの道が多い。海岸に下りたり、また登ったり・・。
それでもこの緑の濃さよ。
昨年の8月も室戸岬へ向けて歩いたなあ。そして今年は足摺岬か・・。淋しい55号線も好きだが、淋しくない道もやっぱり好きだ。
などと感慨にふけっているのも一瞬だった。すぐにアスファルト道路に出る。そこは影一つない死のロードだ。
光線がきつすぎる!
おそらく自転車やバイクの人にとったら最高のツーリングロードだろう。でも、歩き旅にはやはりきつかった。
暑すぎるのだ。
それに先がみえない。
なんだか室戸岬への道に似ている。
あの時は大雨だったが、今回は大晴れだ。
ただ、救いがあった。自転車やバイクですれ違う人みんなが挨拶をしてくれた。
そのたびに心の中は、「暑く」ではなく「温かく」なった。
四国はやはりそういうところなのかなあ・・。
それでも少しの日陰を選んで歩く。涙ぐましい努力だ。
旅路をでてから三時間。
ようやく「足摺」の文字が見えてきた。
拡大図↓
徐々に視界に占める緑の量が多くなってくる。やがてそれが大半を覆ったとき私は足摺岬に到着した。
足摺岬はそこかしこが公園となっていた。
公園の一番手前から、足摺岬をみた。
緑が支配していた私の視界は、今度は青が首座となっていた。
写真からは分かりにくいが、足摺は見通しが利くため、地球の丸さを実感できる。
足摺岬の突端へ歩いてみた。
ここは完全に観光地だ。
写真を撮ろうにも三脚を立てる隙がない。人だらけだ。
ってことで、近くにいた若者グループにとってもらった写真。
これは「四国最南端」の碑である。
下に下りるとそこには札所があった。実に3ヶ月ぶりの札所であり、前寺から実に84キロの距離があった。
四国霊場 38番札所 金剛福寺 2004年8月8日11時20分到着
お参りを済ませてベンチでおにぎりを食べようとした。
すると向かいのベンチに甚平をきた青年遍路と目が合った。お互いに挨拶をした。
札幌からきた通し打ちのEさん。今年大学を卒業したところらしい。
それぞれいろいろな情報交換をした。彼曰く、39番へは竜串ルートはとても景色がいいらしい。(つまりは足摺岬をぐるっと回るルート)。
しかし距離がかなりあることと、次の宿を予約していることから、これは断念した。
でも、彼の持っていた菅笠はお勧めだそうだ。
「風が頭と笠の間を抜けていくので涼しいですよ。」
・・・・・・・・おお・・・、ずっと笠をかぶらずに着たけど、買っちゃおうかな?
旅路で頂いたおにぎりとバナナをEさんにも分けて二人で食べた。ずっとカップラーメンですごしているという。
最後に納め札を渡した。裏にはこのHPのURLがかいてある。
「必ず見ますよ。」彼はそういってくれた。
来てくれたのかな・・?今でも写真を見るたびに、托鉢をしながら遍路を続けたEさんに会いたくなる。
甚平をきているのが札幌のEさん
昼過ぎにもと来た道を私は歩き出した。Eさんは門前で托鉢を始めた。彼の成功を今も心から祈る。
ここから次の札所までかなり距離がある。でも・・・・・・・・・・・やっぱりドラマがいっぱい待っていてくれた。
つづく・・・がんばって書きますよ〜
四国八十八ヶ所お遍路セット(スターターセット)
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