みんな、ありがとう 普段着お遍路走りの記 2003年冬編 第16回
                              (渡し船乗り場から雪渓寺まで)


納経所のおっちゃんに聞いた。「渡し場までどれくらいですか。」
「6キロくらいやねえ。」
おお、すぐやんけ!もはやこれくらいのキロ数では驚かなくなっていた。
山道をスゴイ勢いで下りて国道を行くと、もはやあたりは真っ暗であった。
マジですごいスピードで進む。途中で夫婦遍路を抜かしたが、挨拶はちゃんとする。
浦戸大橋の手前の信号を右に曲がる。道がわからない。


     当時の日記より
      あ、向こうからおねいさんがきたやんけ。

     「すいません、渡し船の乗り場はどこですか?」

     「え・・・知りません。」

     ウソやろ!今のは絶対知ってる感じがするでー。

     ただ説明が面倒くさかっただけやで、絶対そうや。


この渡し船というのは桂浜の手前、浦戸湾を渡すものであり、国道として存在しているのだ。船だけど国道なのだ。歩きが基本だが、これは絶対に乗りたいやんか。ちなみに料金は無料である。なぜなら国道だからなのだ。
   
     当時の日記より

      あ・・・今度はおばちゃんや。

    「渡し船?このとおりをまっすぐ行って左に折れるとすぐよ。」

    おお、ありがとうございます。おばちゃん、いや、おねいさん!

    よおし!いくで!

    言われたとおりに進んでみたが何もあらへん。

    おいおい・・・。

     頼むで、おばちゃん・・・。




年末の夜は暗い。歩く人も少ない。気温がぐっと下がったようだ。道を聞こうにも周囲の家は完全に雨戸をおろしている。


あ・・・・・・・・今にも店が閉まりそうな酒屋があった。今度こそや。
「あのー!すいません。渡し船乗り場はどちらですか?」
このおっちゃんの言うとおりはさっきのおばちゃんとまったく違うところを説明してくれた。
「全然違うじゃん!」
一人しかいないのに思わず大声で叫ぶ。まじで、頼むわ・・ホンマ。

おお・・・・・・・・、おお・・・・・・・・・・。

やっと、やっと船着場に着いたぞ〜!ここまできたらこっちのもんである。



          
     なぜか待合室にはテレビが三つ重ねられていた。
      なんとなく一番下が最古、上行くにしたがって新しくなる感じがする。


20分ほど待ったのち、船がやってきた。もっと小さなものを想像していたが、かなり大きい。これか・・これが国道船か!
                      
                                                                  
                          


渡し船内部



乗客は私ともう一人、自転車の前かごにいっぱい荷物を載せたおばあさんの二人だけ。
鈍い音をたてながら船が離岸していく。この感じ・・いいなあ・・・。



後ろでガッシャーン!すごい音がした。見るとおばあさんが自転車をこかしている。さすがにほってはおけない。行って手助けをした。
「お兄ちゃん、どうもありがとうね。あのね、これでジュースでも買って。船を下りたところに販売機あるからね。」
200円をくださったお礼に納め札をお渡しした。



船を下りたところに自販機は見当たらず、途中の酒屋でジュースを買った。
「かわいいのつけてるねえ。」リュックのヒヨコを見て店のおばちゃんが言った。
「本当にかわいいね、その犬さん。」
犬さん?


そして雪渓寺に無事到着した。とっくに納経は終わっている。お参りだけでもしようかな?
        当時の日記より

           お参りをしようと俺は階段を上がった。


           ・・・・・・・あかん。真っ暗や!怖すぎやんけ。

           札所ゆうたかて誰もおらんお寺さんに夜に入るほど、

           俺は勇気も度胸も信仰心もあらへん。


              
              第33番霊場 雪渓寺着 12月29日 19時11分

その日泊った宿は実に親切であった。建物こそレトロではあったが、食事のときも側にいていろいろと世話を焼いてくれ、選択も夜の間にしてくださっていた。これを気配りというのだろう。
    

   
     
当時の日記より

    今日は無理なプランを立てたなあ・・・。

    全然納経にも間に合わんかったし、ずっと走ってたやんけ。

    せやけど、いろんな人に世話になったわ。

    ありがとう。そして、みんな、おやすみなさい。



最後にみなさんにお聞きする。今回だけタイトルが今までと違っていることをお気づきだろうか?
          
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