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    みんな、ありがとう 普段着お遍路 歩き の記

                     2003年冬編 第12回

                                            (田んぼの中〜野田踏切) 



同じ苦しみであっても、一度挫折し立ち上がった後では感じ方が違うことをこのとき学んだ。
体の痛みも12月の寒さも、心で感じるつらさも昨日までと変わることはなかったが、なぜかそれを甘受していこうという心境になった。

・・・・・・・・・・・・・・・仕事でもこんなに強くなれればいいのになあ・・・・・。




太陽の光は空をかすかに明るくしていたが、地上の空気までは届いていなかった。


空は朝なのに、道はまだ夜だという、





このなんともいいようのない神聖な時間。




周囲の家も寝静まっており、夜の余韻に浸っていた。





そして





私だけが独り、朝の中にいる。



しばらく国道を進んだ後、県道22号線にはいる。野市町役場の横を通り過ぎ静かな街並みに入った。                          
ちゃんとへんろっちが導いてくれている。
      
一度遠ざかったことで、このシールのありがたさを再確認することができている。今の私は。
途中龍馬歴史館の看板が見えたが、よれなかった。私は坂本龍馬が大好きだが、これも高知の旅を経験したためであろう。

脚の痛みを忘れかけた頃に、坂道様がご登場なさった。やっぱりね。こうなると思ったわ。
細い路地裏に設けられた石畳を登りつめたところに28番、大日寺があった。


   12月29日 午前8:43 28番霊場 大日寺



さっき私が文句を言いながら登ってきた道を、今度は昨日のネクターをくださった女性が上がってきた。
「おはようございます。」
「あ、おはようございます。」
これだけの会話だった。またお礼を言うのを私は忘れていた。

    
ここを過ぎたとき、地上へも朝がようやく訪れていた。


今回の旅の中で29番へつづく道が一番好きである。最初は趣きある路地裏を歩き、


やがて道はどこまでもまっすぐ続く直線の空間へと変わった。



    
猛烈に冷たい風が前方から吹いてくる。後ろに海があるせいだろう。
だが、辛いとはおもわなかった。
さらに物部川にかかる戸板島橋を渡ると、一気に田園風景に突入する。


気がつけば太陽ははるか上に上りつめていた。




辺りには誰もいない。
ただどこまでも続く田んぼと畑。大空とどっちが広いだろう。
そして無人の道。このシチュエーションではやはりアレをするしかない。がまんできるか!

    
ということで、アレである。久々に道端にねっころがった写真を撮ってしまった。これも旅をつづけていたからこそ、だろう。


左右に広野のごとく君臨する田んぼを見ながら小高い丘を登るとまた田舎道だ。いいなあ・・、この道も。


気温が上がり、体に余裕が生まれると、自分を見つめるゆとりもできた。
今日の俺は半年前と同じ気持ちを取り戻している。



つまり




目に映る全てのものが





新鮮で美しく、





驚くばかりの存在
なのだ。





旅を始めたばかりの柔らかな視点を取り戻すことができた。







なんと素晴らしいことだろう。その心を取り戻した原因は、・・・・・・・・・・言うまでもない。



挫折が何かを与えてくれることがある
と、このとき学んだ。
今日の私は学んでばかりである。

私道ではないかという不安を抱かせる不思議な遍路道を越えると、
    

もっと不思議な光景に出会った。

何が不思議か?信号と踏切が同居している。ここは野田踏切というそうだ。交差点だけではなく踏切にも名前がついているのか、すげえ、知らなかった。
いいなあ、このレトロな雰囲気。
あ、向こうから列車が来る。絶対ベストショットをとってやる。
後で出来上がった写真を見てみると、予想通りばっちりだった。

単線の向こうに錆付いた商店の琺瑯看板が見える。
「トーヨーサッシ」。実にレトロで素敵である。

こんな風に目に映るものをたくさん写真に撮るスタイルも、遍路を始めたばかりはよくやっていた。
それが、今の私に戻ってきた。進むのが遅くなるけどかまうものか。






線路を離れ県道45号線に入る。そこでまたレトロなものを見つけ写真を撮ってしまった。
友人にこの写真を見せたら、力いっぱい馬鹿にされた。無理からぬ話である。
他人の宝物を大切にすることほど難しいことはない。


逆に言うと、他の人の価値観を無条件で受容できる人がやさしい人なのだと私は思う。

残念ながら、私にはそれができない。
旅を続ける上でそんな心境を自分のものにできたらと思うのだが。





今回最後の写真はレトロで締める。これも2003年冬の普段着お遍路の私には、素晴らしい趣を持って見えたのだ。


ポイントは下の三箇所である。右端は今見るとさすがに不気味ではあるが。
        
趣きある死せる自販機     電電公社時代の電話の看板   花嫁さんの看板

さっきまできれいな田園風景ばかりを掲載していた。それで締めくくらないところが私のアホさである。
                                    
          


 四国八十八ヶ所お遍路セット(スターターセット)

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