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みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
2005年春編 第7回
道が私の「期待」に応えてくれた。
こんなにドラマティックにしてくれるなんて。
さっきはものすごい倒壊があったが、恐る恐る進むとまた普通の道に戻った。
暑い。
この旅も終わり近くになって懐かしき遍路初めのことを思い出した。
遍路転がしは上りはもちろんきついが、くだりも体の随所に負担を与えるものだ。12番焼山寺でも下りで凹んでしまった。
あれから2年か・・・。歩き始めたときは言い知れぬストレスを感じていた。それを忘れるために歩いていたのだ。そしてもうすぐ結願。
この間、転勤することができた。この数年は私にとって人生の転機であった。2年前、この先自分はどうなるのだろう、そう思っていた。
その「先」がやってきている。今の私?多分、幸せだ。
いろんな思いを錯綜させていた。
誰もいない道を一人で歩くと、自然と人生について考えるものだということも、この長い旅で学んだ。
思考が途中で切れた。
暑すぎ・・。それにこの下り坂は険しすぎる。
はっきり言ってしんどいぞ。

膝が笑い始めた。
これやねんなあ。俺の体力のなさ。でもまだまだくだりは続きそうだ。
だって山がこんなに高いのだから。

しかし人間ってこんなところまで建造物をもたらすのだ。
おりても降りても景色が変わらない。

この原生林のおかげで陽射しは防げてはいるが、いかんせん俺の、俺の体力が・・・・・・。
チーン。

白目をむいて途中のベンチに倒れこんだ。
62番奥の院まであと3.9キロだそうな。そんなことどうでもいいのだ。
ただいまエネルギー充電中・・・。
まだ俺は寝ている。
充電・・・・・・・・・・・・。
ふっかーつ!

旅の疲れは休息で癒される。仕事の疲れは何をどうしようが、消えない。
だから俺は旅に出る。
よおし!これからは順調に行くぞ!
もう立ち止まらない。何があっても進むのだ。
ぐ
ん
ぐ
ん
ぐ
ん
ぐ
ん
ぐ
ん
ぐ
ん
!
ぬ
お
!
?
誰じゃ?
とおせんぼするのは!?

いきなり目の前にこんなロープが・・・。
しかもこうかいてある。

あんた、こんなところまできて
とか
などとおっしゃられましても、いまさら何時間もかけて戻れるでしょうか。
多分道の倒壊を意味してるんだろうけど、
ね!
多分・・・・・・・・・
大丈夫!
ということにして歩き出した。
しばらくいくと・・・・・。
道が半分えぐれている。
戻る気はない。
でもそれと「怖さ」は別だ。
歩ける幅は50センチほどだろうか。
すぐ右は崖になっている。
踏み外したらどうなるだろうか、考えたくもない。
恐る恐る一歩足を踏み出した。
ぐぐ!
沈む感触がある。
わわ、気持ち悪い!
映画のようなシチュエーションを越えた。
これで終わる・・・・・・・はずがないね。
ここまでくれば倒壊というか、むっちゃくちゃである。

どこが道だか分からない。
でも不思議と怖さはなかった。
むしろ大冒険をしているという充実感があった。
一人で崩れかけた道を歩いている。こんな巨大なリュックを背負って。
歩いても歩いてもこれ。

さすがに通行止めになるだろうな。
誰も歩いた痕跡がない。
太陽がもたらすのとはまた違う汗が体の奥から沸いてきた。
俺、こわがってる?
心がそれでも高揚していく。
2年前なら恐怖に震えていたかもしれない。
でも今は、二度と得られぬ体験に琴線をゆるがせていた。
そして
何のためにそうしたのかわからないコンクリート道を歩くと、最後にはここへ出た。

62番側はちゃんと最初に通行止めにしているのに、肝心の山道は途中にしか案内がなかった。
でもそれでもいいのだ。
困難な道も土砂崩れも通行止めも、そこを間違えて歩くのも
すべては「楽しきかな、人生!」
次回、春編の最終回。
つまり、
ピースケの遍路日記の、
最後の執筆。

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