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みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記
  

                     2004年冬編 
 最終回


全てが理想とは反対に動いた旅だった。
澄み渡る青空を求めているのに大雨と大雪に見舞われ、快適な道を望んでいるのに山道に心震えさせている。
旅の偶然の出会いを求めているのに、未だに誰ともしゃべれていない。


もう、あきらめよう。

出会いも、青空も、歩くことのすがすがしさも。



山の中で幾度も戻ろうと思ったが、進み続けた。

やがて196号線に戻った。さっき歩いていた道だ。なんのためにあんな山の中にルートができているのだろう?


あ、なんかぬくい。雨が上がったのか。
そして雲も消えていた。一気に形成が逆転している。
ということは・・・。



これって初日の出じゃん。


昨年は海から初日の出を見たけど、今年は山から登る初日の出を拝ませていただいた。

そうかあれからもう1年か・・。
今、こうしてかわらず旅をさせてもらっている。
そういえばそうだ。俺は旅人をつづけている。




いつしか道は海沿いへ出た。






海の表情も変わる。ついに工場が見え始めた。


この辺りから瀬戸内工業地域へはいるのだ。





昼過ぎに今治市に入った。



あと数時間で旅が終わる。で、この晴天か。







途中のコンビニで同じお遍路さんにお会いした。あきらめたとはいえ、最後の祈りを込めて挨拶をした。
「こんちは♪どちらからですか?」
「・・・・・・・・・・・。」

無視されちゃった・・・・・。




今治市は大都会らしい。ものすごい人の数、そして車。



白衣を着ている人は誰もいない。

俺だけ。

今回は淋しい思いをするために歩いているようだ。




くりかえしになるが誰もいない孤独より、

人ごみの中の孤独のほうが辛いのだ。

遍路を経験して感じた揺るぎなき事実である。





54番、延命寺についた。このペースだと55番までしか行けないだろう。
だから締めの願い事をした。これまで、お参りをしていても「ありがとうございました」しか、祈ったことがない。
でも今回だけはこう考えた。「次の遍路こそは、人との出会いに恵まれますように。」

境内は人でごったがえしていた。初詣に決まっている。
元旦から巡礼などありえない!





っとおもったら、一人白衣を着ている人がいる。
いらっしゃるものなのね。
さっきコンビニで違うお遍路さんに無視された心の曇りがよぎったが、
それでもいまここで素通りするのは、俺の旅のスタイルではない。

何の期待もせずにはなしかけた。
「こんちは。区切りうちですか?」
「はい、でも僕は逆うちなんです。」

うわ、初めてお会いした。

逆うちとは逆周りに四国を回ることであり、順うちに比べ3倍の功徳があるという。
彼は愛媛の大学院生だった。
最初に会った旅人遍路が今回最後の旅の仲間だった。

お互いのカメラで写真を撮った。
                     2005年1月1日 四国霊場54番札所 延命寺12:04到着

そしてこれまでそれぞれが泊った宿の情報などを交換し合った。
必ず写真を送ると約束をして私は札所を去った。

最後の最後でよき旅人にお会いできた。

でも、これまでの例だと、こうして納札を交換してもほとんどがなしのつぶてなのだ。
写真を送っても、返事が来ないことも多い。
過剰な期待は自分を傷つける。








とおもったら、







半年後の2005年夏、



彼、すなわち、Key youさんは







結願を目前にした私に会いにきてくれたのだ。





なんと不思議なことだろう。出会いにあきらめた途端に素晴らしい出会いが得られた。
順うちと逆うちが出会う確立はほとんど奇跡みたいなものだ。



 その奇跡がこの相互リンクをも生み出している。


        

    (彼のHPです。素晴らしい作品が載っています)。



この時の感動は私の力の足りない文章力では言い表せない。





そういえば初日の出を見たときもそうだ。
雨を受け入れたときに、晴れ間が見えた。
そして初日の出に出会えた。


          

こんなもの?こんなものかもしれない。



捨てることで得られるものって必ずあるのだ。







55番へ向かうあぜ道を歩いている。

不意にメールが入った。友人からだった。
「あけましておめでとう。旅先での年越しいいなあ。俺も歩きたい。」
そのメールを見て未熟な頭がさらに思考をした。


俺さ、いま歩いてるよな。旅空の下で二回目の元旦を迎えられた。
で、歩いていることでkey youさんに会えた。


そうなのだ。今、おれはこうして歩いている。
これでいいいではないか。
あきらめたことで、「当たり前のことが幸せだ」と気付いた。
それを教えくれた2004年冬の遍路に感謝しよう。




感謝しつつ最後の寺に着いた。55番南光坊。

教訓を得た私を祝福するかのように青空が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



あ!?


青空じゃない!



 四国霊場56番札所 南光坊 2005年1月1日15:10到着

せっかく教訓を得たのに、最後の最後でまた・・・・・・・、大雪!





次の遍路は絶対に晴れがいい。美しい夕日が見たい。
そうこんな風に。

     

この写真は?日付が2日になっている。
しかし1月2日ではない。
しかも飛行機の中からの写真・・・。

これは5月2日である。

そう、引き続き「みんな、ありがとう 普段着お遍路歩きの記 2005年春編」をお読みいただけるとすっげえ幸せっす。


               2004年冬編 完

                        そして

                    2005年春編につづく



                
                          

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