最初はめちゃかっこよく旅立ったのに、
次から次へとむちゃくちゃなことが起きて
結局これはいったいなんだったんだろうという変な旅の話
4
人間あきらめると何かが生まれることがあるというが、このときもそうだった。
「荷物や!荷物が重すぎるねん。」
確かにそうだった。テントや寝袋、テーブルなど一個師団を率いる勢いの荷物が車に詰まれており、
それが車の動きを鈍くしているのだろう。
「出そう!」
そうだ、この荷物を全部運び出すのだ。
すでにはだしになっているのは水の中に入っていたため。
車を空にした。
さらに考えた。
「車が水に沈まないように、何かを敷こう。」
ちょうど近くに板が落ちている。
これを車のそばに敷いた。
そしてまた石を並べ始めた。
しかし俺たちは人里はなれたところで
いったい何をしてるんだろう?
やれることはすべてやった。
荷物を出した。
板を敷いた。
石を敷き詰めた。
文字で書くと一瞬だが、これもさらに1時間を要した。
はっきりいってくたくただった。
飯をまったく食わず、水に入った状態で数時間作業しているのだ。
これでだめなら・・・・・・
いやそんなことは考えるまい。
「じゃあ・・・・・・・・
エンジンをかけるで・・・・・・。」
A氏が決心をしたかのような声を出した。
---------------第9幕 ウンコ---------------
ぶろろろろお!
エンジン音があたりに響く!
「押せええええええええ!!!」
ものすごい叫び声!
もうひとつ、音がした。
車は板ごとあっさりと沈んだ。
沈んだときの音がこれまたいやだ。
ぶにゅりだなんて・・・・・。
泥がウンコのような音を立てている。
しかしそれ以上に俺たちがウンコだった。
もう汚物のように腐っていた。
-------------第10幕 あきらめ---------------
「もう、いいよな。」
「うん、もういい。」
「俺たちはよくやった。」
「そうや、車ももういいわ・・。」
「いいんか?」
「うん、捨てる。もはやこれまでや。」
俺たちは精魂が尽き果てた。
いくらやってもだめなことがあるのだ。
「今日はここで寝よう。」
「テントを張るのもやめような。」
「もう張る気力もない。このままここで寝よう。」
「明日は夜勤ちゃうの?」
「もう、それもいいわ。仕事もあきらめる。」
「そうやな、携帯の電波が通じるところまで数十キロあるし・・・。」
さらにすべてを捨てる心境になった。
「俺は仕事やめる。」
「おれも。」
「俺もや。」
なんでかしらないが、そんな結論になった。
こうして俺たちは一瞬燃え上がり、そして燃え尽きたけど、また火をおこし
それがだめになったとき、ウンコになり、そしてそのウンコも目の前の川の水に流れるように
すべてをなくす覚悟を決めた。
俺たちの旅はこれで終わった。
最初はめちゃかっこよく旅立ったのに、次から次へとむちゃくちゃなことが起きて
最後にはウンコになった男たちの旅
完
あ?
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