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天空の街へ ペルーひとり旅 



     第27回    上空へ 


男たちがこっちを見ている。「屈強」という言葉がぴったりな連中だから余計に嫌な感じだ。
「へい、日本人、安心しな。俺たちが面倒を見てやるよ。飛行機は決まってないんだろう?ガイドが必要だろう?」
英語とスペイン語が混ざった言葉でわかりにくかったが、たぶんこんな内容だと推理した。
体温がどんどん上昇してくるのがわかる。善良な人たちには見えない。
「心配には及ばない、私はガイドを空港で待たせている。」とっさにうそをついた。
これであきらめてくれるはずだ。ところが
「何を言ってるんだ、ガイドは俺たちだ。」といって譲らない。
面倒くさい車に乗ってしまった。

さらに体温が上がってきた。ところが一瞬体が冷えた。突風が吹いてきたのだ。
無意識に手がポケットを探っている。小さな紙が入っていた。何かのレシートだろう。
それを風に乗せて飛ばした。
「あ、俺の大事な紙が!」日本語で叫んで、向こうに散り行く紙切れを追いかけた。
紙は風にのってどんどん飛んでいく。俺は走った。走った。
「待て待て〜!」
すぐ向こうに曲がり角が見えたのでそれを曲がった。
レシートはちがう方向へ飛んでいったが、俺はかまわずどんどん走り去った。
もう一度角を曲がったとき、後ろを振り返ったが誰もいなかった。



たぶん、屈強軍団をまくことができた。でも、ペルーまで来て何をさせるのだ。
目の前にタクシーが停まっている。見ると人のよさそうなおじいちゃんが運転手だった。
「空港まで。」とういうとおじいちゃんがにこっと笑って車を出してくれた。




無駄な心労と恐怖と体力を消費しながらついた空港は驚くほど小さかった。
中には地上絵フライトのための航空会社が複数あり、カウンターが並んでいた。
ここから好きな会社を選んで申し込むのだ。
              
値段も一緒である。あとはできるだけ小さな飛行機を選んで申し込んだ。
大きな飛行機だと窓際でない危険性があるからだ。


1時間ほど待機してようやく飛行機に案内された。アメリカの大学生の5人組と一緒の機に乗り込んだ。
                               
                                        本当に小さい。


いよいよ、

ナスカの地上絵に出会える。



この旅二つ目のクライマックスだ。子どものころからみたかった芸術に触れることができるのだ。


ここからは動画でご紹介しよう。まずは離陸するところである。
       




空港周辺はほとんどが砂漠であることがわかる。
この動画にはまだ地上絵は現れていない。


この動画にはあの有名な地上絵が登場する。
20秒後に一瞬映し出される。




極浅い砂の掘り方でどうしてとこしえに残っているのか、いまだに謎だそうだ。
上の動画でわかりにくかった方のために、下に猿の地上絵の写真を載せる。


さらにハチドリの絵。



私が気に入ったのはこの小鳥の地上絵である。動画の最初にいきなり登場する。


写真では右上に小鳥、左によくわからない木の絵が写っている。



わずか30分の飛行だった。そのために70ドルを払った。この旅一番出費である。だがこれでいいのだ。
節約するために南米まで来たのではないからだ。
子どものころからの夢、30分という限られた時間でかなえられた。
この短い時間が、短いからこそ深く私の心に刻まれている。今も。



さてと、ここからまたバスターミナルまで戻らねばならない。
空港から外へ出た瞬間に陽気な南米おじさんに話しかけられた。
「は〜はっは!日本人、タクシーだろ?は〜はっは!安くするから乗っていけ。」
なんとなく避けたいキャラクターであったが、他にタクシーが一台も止まっていなかった。

どうもこの旅ではタクシーにはついていない気がする。
今度はどうなるだろうか。

                                       


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