天空の街へ ペルーひとり旅
第25回 変な夜
なじみにある宿に戻ってきたせいか、すぐに眠りにつけそうだ。
この旅では睡眠に悩まされてきた。あまりに興奮しているため、体が激疲労していても一晩中起きていたことは一度や二度ではない。
明日、3:00には出発しないといけない。ベッドに入るとすーと意識が遠のいた。
世界中の皆さん、おやすみなさい。
「まじ〜!?すっげ〜!!」
ふんぎゃ、なんじゃ!
「本当だって!」
日本語が聞こえる・・。
そうか、あのお方たちが宴も酣でお騒ぎになっていらっしゃるのか。
私の部屋からずいぶん談話室は距離があるのに、声が思いっきり聞こえる。
何が本当だと主張したいのか知りませんが、お願いだから少しだけ静かにしてください。
時計を見た。10時過ぎだ。まだ5分ほどしかねていないじゃないか。
おやすみなさい。また意識が遠のいていく・・。気持ちいい、この感じ。
皆さんの、ご期待通り・・・・・・・、
「わはははははは」
一瞬寝たと思ったらまたおこされた。
無視無視。
「わはははは」
声が小さく聞こえる。努力すれば無視できるのだ。
今度こそ、おやすみなさい。
「わははははは」
小さいよ、小さいね。
ドンドンドン!
うぎゃお!ドアがたたかれている!
宿の奥さんが、朝起こしてあげるといってくれていた。もう起きる時間なのだろうか。そんなに俺は寝たかな??
「ショーンベーンターイム!」
ドアの外でおっさんが叫んでいる。一体何のタイムというのだ。
「そこは、便所じゃないよ。さっきリュック背負ったなんかちっこい兄ちゃんが入ってただろ。」
お仲間が止めにきた。止めにきてくれたのはいいけど「ちっこい」は余計だ。ここまできて身長のことは言われたくない。
ションベンタイムは終わったようだ。というよりもあのおっちゃんはトイレ、間に合ったのだろうか。
などと余計なことを考えていると、また眠気が飛んでしまった!
眠りたいのに眠れない。
外が静かになった。あのグループ様は寝静まったようだ。
俺を完全に起こしてから、
自分たちは安らかに睡眠をとったのである。
取り残された俺はどうすればいいのだ。
部屋にはアナログ時計は置いてないのに、なぜか秒針の音がする。
今何時なのかは知りたくもないが、携帯で時間を見てしまった。
すでに1時を回っている。
目をつぶると、マチュピチュが浮かびそこからクスコの町並みに移行した。
そしてもちろんクスコの宿で出会った仲間の顔が浮かんだ。みんな、今頃何をしているんだろう。
次第に気持ちが落ちつき、また眠気がやってきた。
本当に、おやすみなさい。
ドンドンドン!
げえ!またションベンタイムかよ。無視無視・・。
ドンドンドン!
ほら、音が小さく聞こえる。おやすみなさーい。
「ピースケさん、時間ですよ。起きてください。」女性の声がする。
は!そうだ。朝4時のバスでナスカに向かうんだった。
悲惨な表情でベッドから起き上がった。
俺、結局何時間寝られたんだろう。
わははとかションベンタイムとか、もう最悪だ。
外へ出て足元を見ると、水溜りができていた。
これは、飼っている猫のおしっこなのだろうか、それとも「ションベンタイム」の産物なのだろうか。まだ前者のほうがマシだ。でも「ウンコタイム」でなくてよかった。
足元を見ていると変になりそうなので、上を見た。
午前3時1分のリマの空。なぜか赤い。
バスターミナルに着いたとき、その立派さと人の多さに驚いた。
ペルーはマチュピチュやナスカの地上絵によって成り立っているのだ。
バスの中で寝ればいいと思っていたが、結構立派なバスだというそれだけで、単純な私のテンションが上がり結局起きている。
最初は街中を走っていたが、すぐにこんな光景の中に突入していった。
何もかもが土の中にあるような場所。
やがてそんな土の「町」も姿を消し、
土しか見えなくなった。
この砂漠の向こうに、ナスカの地上絵があるのだ。
朝食が配られた。パンだらけだった。
つづく
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