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天空の街へ ペルーひとり旅 



     第18回   クスコへの戻り方  




夕食中になんども寝そうになった。80時間眠らず休まず動いているのだ。
これが仕事でそうなったのなら絶対に倒れる。旅ならもりもりがんばれる。

完全に夜の帳につつまれたさびしい路地裏を通り、ホテルへと戻った。


こうしてホテルの部屋があるだけでうれしい。昨日の深夜は本当に怖かった。
そんなことを考えながらベッドに横になった瞬間、意識がなくなった。


起床!

ついにちゃんと寝ることができた。さすがにつかれきっていたのだろう。
10時間のあまりにも深い深い睡眠をとり、7時に起床した。
昨夜、マネージャーが宿代を取りに来たのを覚えている。
一泊分の90ソルを払ったのだが、やっぱり過分な気がしてならない。

クスコへ向かう列車の時間は早い。

フロントへ降りたが無人だった。まだ寝ているのだろう。鍵をそっとカウンターに置くと外へ出た。


見慣れた通りを進む。
すでに駅には列車が停まっていた。



駅のベンチで時間を潰していると、昨日お会いしたアメリカ人女性が手をふってきた。
彼女もひとり旅のようだ。

ここで心配なことを思い出した。この列車は空港のあるクスコまでは行かない。
チケットが売り切れていたため、途中のオリャンタイタンボの街までの便しかとれなかったのだ。
問題はオリャンタイタンボからクスコまでどうやって帰るかである。
周囲にいる大半の人は団体客のようだ。いかにもお金を持っていそうな感じがするし、
たぶん、このみなさんのために、駅には大型バスが迎えに来ていることだろう。
私はおそらく一人でタクシーを利用しないといけないはずだが、うまくつかまえられるだろうか?

考えているうちに面倒くさくなってきた。まあいい。なんとかなるだろう。
余裕あるふりをしているが、このときもクスコへの戻り方を真剣に考えているのだ。


列車が動き出した。幸い窓際の席だった。しかも景色のいい谷側である。
ちなみに反対側に座ると樹木しか見えない。えんがちょ席である。

昨日、ふんずけながら歩いていたレールの上を、今度は列車で進んでいる。
アグリス・カリエンテスの街がどんどん小さくなり、やがて見えなくなった。


いつしかアンデス山脈が視界を覆い始めた。

なんという絵になる光景よ。



スペイン語会話の本を必死で読んでいると(もちろんタクシーを交渉するための予習)、
私の横の兄ちゃんが話しかけてきた。
「日本人ですか?」
「そうです。あなたは?」
「ウルグアイ人ですよ。」

「日本?そんな遠くから?」今度は向かいに座っている兄ちゃんが話しかけてきた。
「そうなんです。」
「ツアーじゃないの?」
「いえ、一人で。」
「日本から南米まで一人でくるの大変でしょう。結構危険ですし。」

話していて感じた。この人たちなら信頼できそうだ。気になっていたことを聞くことにした。
「あの、駅からクスコまでタクシーでいくらくらい払えばいいですか?」私は質問した。
向かいの兄ちゃんが言った。
「20ソルまでで交渉すればいいよ。」

20ソル?

クスコ〜オリャンタイタンボ間の料金の相場がわからなくなった。
宿の人は「90ソルくらいはかかる」といっていた。
一昨日乗った車には30ソルを払った。そのときは格安だ、ラッキーと思っていた。
だがこの人たちは20ソルでいいという。
おそらくはこの目の前にいる人の情報が一番信頼できそうな気がする。

横のウルグアイ人がさらにスペイン語での数字の数え方についても教えてくれた。
一定の法則があるそうだ。彼の教えてくれた記憶法は今でも忘れていない。




窓外の景色はますます美しくなっていく。
眼下にはクスコとマチュピチュを結ぶ川がながれ、遠くのアンデス山脈の頂上を白い雲がすっぽりと覆っているのが見えた。空気がどこまでも澄み切っているこの空間にいる幸せ。
     



ここで車内と車外の様子を動画で撮ってみた。


景色の美しさが少しだけわかる。


川の向こうの崖の上に人の姿が見えた。
「あれはマチュピチュまで続く登山道ですよ。4日ほど歩いて到達するんです。」
兄ちゃんが教えてくれた。

             ↑巨大なリュックを背負っている人。望遠レンズで撮影。


不意に列車が停まった。駅に着いたのかと不安そうに窓の外を見ていると、向かいの兄ちゃんに
「駅じゃないよ。ついたら教えてあげるから大丈夫」といわれた。



また列車が動き出した。民家がぽつぽつと見える。馬も見える。
あそこに住んでいる人たちはどこで買い物をするのだろう?





「ついたよ。」約束どおり向かいの兄ちゃんが教えてくれた。
「いいですか、タクシーは20ソルですよ。それ以上は無駄金です。」ウルグアイ人が念を押してくれた。
絶対に20ソルでのります。どうもありがとう。二度と出会えぬ人たちに感謝してやまない。
最後に一緒に写真を撮った。


列車を降りると人々はどんどんバスに吸い込まれていく。
団体様、さようなら。

さて、ここで俺はタクシーを拾うのだ。もちろん日本のようにきっちりしたメーターつきのタクシーがあるわけがない。
どれもこれも個人がやっている白タクである。だからこそ交渉しないといけない。
特に向こうから声をかけてくる人には要注意である。


辺りでは「クスコ!クスコ!」と叫ぶ運転手がいっぱいいる。
みんな呼び込みに必死なのだ。




この雰囲気、



かなり、おれにとって





きついです。






「クスコ?」一人が声をかけてきた。顔に「うさんくさい」と書いてある。
だのに私は思わずうなずいた。「シー。」
あ、俺のアホウ!同意してどうする!?
向こうから声をかけてきた人は無視するのが鉄則なのに、いきなり破ってしまったじゃないか。
でもいい、どうせふっかけてくるに違いない。俺は20ソルまでしか出さない。良心的価格の車を捜すのだ。


「クスコまで8ソル」彼は言う。



え?8ソル・・・ですか?
安い!すげ〜。




私はその客引きについていってしまった・・。安いから。
あかん、こんなときに大阪人の癖がでてしまった!



ライトバンが停まっている。中には地元の人と思しき数人がいた。
みんな目つきが鋭い。こっちを見て薄ら笑いを浮かべているし。
乗るのが怖かったけど、俺の脳髄の奥のほうで「乗って大丈夫」という声がした。






←こうやって勧誘している。






そして車中の人となった。



はっきりいって・・・・・・、



この車、

やっぱりやばそうです。






向こうを見るとザックを背負ったバックパッカーがいっぱい乗った車が見えた。
あっちにしておけばよかった。
俺の隣には顔が傷だらけで、真っ黒なサングラスをかけたおっちゃんがいる。まるで日本のヤのつく方ではないか。


やっぱり腹が痛いとか何とか言って降りよう!
そう思ったとき、巨大なおばちゃんが二人乗ってきて、入り口を完全にふさがれた。うぎゃお!
これじゃあ降りるに降りられない。

その瞬間を捉えた動画。




あ、車が動き出しちゃった!

                                                                                                            

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