天空の街へ ペルーひとり旅
第16回 さようなら、マチュピチュ
私はしばらくそこにたたずんでいた。標高2400メートルのその地にいるだけで、大きな力が入ってくる気がする。
はるか昔、この地でこの建造物を作った人はどんな思いで作業をしたのだろう。
横に目をやると緻密な構造をした壁がある。
この石垣一つひとつにも命がある。
少し歩くと有名な隙間のない石垣があった。
遺跡の中は迷路のようになっており、だんだん自分のいるところがわからなくなってくる。
ただ見通しが良いため、迷うことはない。
丘を上っていくと、いつしか見覚えのある光景がそこにあった。
やっぱりこのアングルだろうな。
私はこの光景を見るために、地球の裏側からやってきたのだ。
早朝、視界を覆っていた真っ白な霧は、ちょうど山頂のさらに上によけてくれていた。
私がしっかりとマチュピチュを目に焼き付けるために、そうしてくれているみたいだった。
もう他に望むことはない。ありがとう。
再びMさんと合流した。彼は自分と自分の周囲にいる人のために、マチュピチュの湧き水を汲んできていた。
俺もそうすればよかったな。
私の旅の要の部分をささえてくれたMさんに会えてよかったと心から思う。
↑ワイナピチュをかたどったポーズ。
類まれな知識を持った旅人と出会えたことに感謝している。
「スタンプ、もらいましょう。」Mさんがいった。
忘れてた・・。
パスポートにマチュピチュのスタンプを押してもらえた。
これで本当に、本当にマチュピチュとはお別れである。
バスはすべるように走りだした。
最後に振り返ったが、深山の中にマチュピチュを捜したが、どこにも見つからなかった。
だが気配は感じ取ることができる。
15世紀に建立され、高い山の上で栄えた天空の街。
いつしか作り上げた人々は滅び、誰も訪れる者がないまま数百年がたった。
だが、自らのみはいまだ生あるものとして、天空の街の誇りを失うことなく、静かに静かに息づいているのが感じられたのである。
天空の街 ペルーひとり旅 前半 終わり
後半へつづく
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