天空の街へ ペルーひとり旅
第7回 美しきオリャンタイタンボへの道をゆく
「はーい、みなさん、こちらがアルマス広場ですよ〜。」
日本語が聞こえる?私のすぐ背後からだ。
みると、おお、ペルーに来てはじめてみた。日本からの団体様ではないですか。
うそみたい。こんなところまでくるのだ。
日本国内や他の国で見る団体様とちがって、静かに皆さん行動されていた。
さてと、人の行動を観察している場合ではない。自分の飯の心配をしないと。
ふらっと目の前の店に入った。入って驚いた。メニューがこうだったからである。
写真付きでわかりやすい上に、日本語のメニューがあったのだ。
これは助かる。私はアヒ・デ・ガジーナ(鶏肉・スパイス・玉ねぎを煮込んだカレー状のもの)、
トマトスープ、コカ茶を頼んだ。それぞれ18.5ソル、10ソル、3ソルである。
食堂を出ると、腹も心も満ち足りていた。ここで一度やりたかったことをした。
海外の街中ではなかなかできないこと。キケンだからやりにくいこと。
昼寝である。
もしかしたら、やっぱり決して治安が良くないのかもしれないけど、この晴天の下でどうしてもしたかったのだ。
私はカテドラルの階段に座ると、カバンを抱え込み目をつぶった。そういえば60時間近くまともに睡眠をとっていない。
ZZZZZZZZZ
ZZZZZZZZZZ
一体何分くらい寝ていたかわからないけど、起きたとき荷物も体も無事であった。
目の前を物売りの子らが、遊んでいた。
今日の写真、全部好きなのだが特にこの写真が気に入っている。
そろそろ移動しないといけない。
ここから75キロ離れたところまで車で移動する。リマの宿の方には20ドルくらいはかかるといわれていた。およそ56ソルくらいである。
交渉した車が30ソルで連れて行ってくれるらしい。僕は喜んで応じた。
ひとたびこの街を離れる。
さようなら、クスコ。
僕を乗せた車は坂道をすべるように進みだした。
かくして運転手と僕の二人のドライブが始まる。
山の中腹に寄せ合うようにして家が立ち並んでいる。
しばらくはこんな赤い土の大地が続く。珍しく、農場の真ん中に白壁の家が建っていた。
いつしか道は平坦になり、農場の中を貫いて走り続けた。
しかし、この道はどこを撮っても絵になる。
不意に運転手が車を止めた。「Look!」彼のさしたほうには・・・、
豚の赤ちゃんがいた。
日が傾きだした。少しずつ肌寒くなってくる。
「Look!」運転手が今度は前方を指差した。
こ、これなのか。
これがまさにそうなのだ。
どうしても見たかった存在。
これがアンデス山脈。
この山並みがはるか向こうまで続いているのだ。
「Look!」また言われた。
この運転手の言葉には実に信憑性がある。今度はこの景色だ。
もはや言葉では表現できない。
アンデス山脈に抱かれた原生林と小さな家々が見える。そして空の色をうつした湖。
私の素人撮影なのに、絵葉書のように見える。
光は昼間の強さを保てず、すでに夕刻のやわらかいそれとなっていた。
今日一日はすばらしかったと思う。
旅人Mさんにお会いし、別れ、クスコの街に入り、素敵な光景に包まれた。
昼寝もできた。
そしていまさらに美しい山と湖に臨んだ道を走っている。
高山病にもならなかったし、安い車を交渉することもできた。
俺の旅、完璧じゃないか!!
みなさん、これまでこの「遠くまでゆく日」は悲惨な体験を多くかいていたじゃないですか。
台風ばっかりだったり、怪我したり、どぶにはまったり、ウンコを踏んだり。
だが、このペルー編をもって美しき華麗な旅の記録と替わることをお約束しよう。
この瞬間の私は幸せであった。
今日がまだ終わっていないのに、すでに終わった気になり満足している身に、この旅最大の試練が待っているとも知らずに。
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