第15回 知床岬の湖
カムイワッカの滝をみることはかなわなかった。
次は知床五湖である。五湖というくらいだからたぶん5つあってそのどれもが美しいに違いない。
絶対全部見る!
そう誓いつつ歩いていくと、
太古以来の美しさを保っている一湖がそこにあった。
一つ目でこんなに美しいのだから、あと四つも期待ができるではないか。
ノリノリで二湖へと走る・・・。
こ、これは!!
美しすぎるではないか。
よし次!
へ行こうとしたら、通路に警備員が立っていてシビアにこういった。
こらどけおっさん。
「三湖以降へは今日はいけませんよ。」
またも景観保護のためにシャットアウトをしてるのだろうか?どうしても見たい!
「なんでですか?このためにわざわざ大阪から来たのに。」俺は半分うそを言った。
「熊がさっき出たそうです。」
完敗。
森の熊さんには勝てない。
どうしてこうもついていないのだろう。
さようなら、三湖ちゃん、四湖ちゃん、五湖ちゃん・・・。
駐輪場へ戻ると一台のチャリの旗に目がいった。
「ただいま日本一周中」とかかれてある。どんな人が旅をしているのだろう。
この旅でも私は出会いを期待していた。だがこれほどチャリダーが少ないとは思っていなかったのだが、ここへきて久しぶりに仲間に会えた気がする。
日本一周中のこの人物に会いたいと思ったが、主は現れず私はチャリを漕ぎ出した。
結局見たいものをほとんど見ることができなかった。
今日の午前中はスカだ。
たった一つのみやげはこのバスの乗車券ぐらいである。
とはいえだ。今から俺は知床岬を横断する。日本最北の半島をチャリで往復するのだ。
そう思うとテンションがあがり始めた。
この半島はかなり高低差があるそうだが、上りきってやる!
なによりこの天気だ。抜けるような青空が今日の午後の俺の旅は楽しくなると保証をしてくれているようだ。
思いっきりペダルをこいだ。本当に思いっきりこがないと進まないのだ。
それだけ猛烈な坂だったのである。
でも俺はこいだ。
見よ、この青空を!この空がおれを守ってくれている!
岬を上りきったときどんな美しい光景がまっているのだろう。
さらに上った。まだまだこの景色だ。美しい。そして青い!
この景色を見たとき、心に一抹のかげりが生じた。
私が何をみておびえているかお分かりだろうか?
つづく(ちゃんと更新します。すいません。)
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