第12回 オホーツク海へ



今からオホーツク海に臨んだ道を走り、そのあと知床岬を目指す予定だ。

オホーツク海
そして
知床岬

この二つの地名をあこがれた旅人がこれまでにもどれほどいたことだろう。
このときの私も例外なく海と岬を目指していた。



「今日はどちらまで?」
「知床岬で野宿します。」
「かなりありますよ、お気をつけて。」

朝食時での私と同室のお二人との会話である。

なにげない「お気をつけて。」の言葉が自然に私の心に染み入ってきた。
まるで一昨日の「チャリで知床岬を走るのは環境破壊だ。」といわれていたのは、遙か過去へと流れていた。
もうどうでもいいのだ。あれは。


お二人が玄関で見送ってくれた。
Oさんが「チャリまたがっていいですか?」
「もちろん。」
「いいですね、これで北海道を走るんですね。」

最後の写真を撮った。
「じゃあ、本当にこれでお別れを・・。」
やば、泣きそう。昨日会ったばかりなのにずっと前から知り合いだった気がする。

ヘルパーさんも出てきて見送ってくれた。このヘルパーさんもチャリで何度も旅をし、この夏のみ北海道で働いているという。そういうすごし方もあるんだなあ。

そして私はチャリをこぎ始めた。みんなが手を振ってくれている。
さようなら!見送り、一生忘れません。
ありがとう!北海道。

あ・・・・・・まだ旅4日目なのにもう終わりみたいな心境になってる。



国道391号線をまっすぐ北へ進む。
この日の写真がもっとも北海道らしくて好きだ。                                                                    
                    
わざわざチャリを降りて撮影する。

やがて道は上りになる。
そしてそののぼりが延々十数キロ続く頃、なぜか旅人が増え始めた。
とはいえバイクばかりだ。みんなびゅんびゅん追い抜いていく。
チャリの旅人は一人もいなかった。


山を登りきった頃、この旅でもっとも驚愕する色を見た。
        
なんという空の青さよ。
疲れてくるとどうしても道路しか見なくなる。アスファルトを見てもいいことはないが、
上りきった時に周囲を見渡して得る充足感。
これこそが自分の力で進むものにだけあたえられる特権なのだろう。


向こうに海が見えてきた。
名前は言うまでもない。


 
ついに来た!
北の大陸を旅する者の憧れの存在。
たぶん、大阪湾とかそんなのとは比べ物にならない偉大なその名前こそ

オホーツク海!

なんか胸が熱くなった。ありがとう、北海道。
あ・・・・・、旅4日目なのにもう終わりの心境になっている。

俺の旅はまだまだ続くのだ。








右手にはずっとオホーツク海が広がっている。

時折車とバイクが通り過ぎる。







今夜の宿はどこにしようか?
ユースが続いたので適当なところで野宿をすることにする。








どのガイドブックにももれなく載っているオシンコシンの滝は、きれいではあったものの、ものすごい観光客の数に閉口してすぐにそこを立ち去った。





今の俺には海を見ながら一人で走るほうがいいのかもしれない。



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