第一回 北へ



やっぱり北海道であった。
自転車で旅をしていた人は、いつかは北海道を目指すという。
それは東京の人であれ、大阪の人であれ、沖縄の人であれそうだと思う。
みんな、北へ、北へとむかう。

そして小さな旅人の俺も北を目指していた。
2008年、夏。



この道はどこまで続くのだろう。
自転車をこぎながら考えた。
本土では見ることのない地平線に消える道。

ここはまさに大陸だ。


果てのない大陸を一人惨めな顔をしてチャリをこいでいる小さな男。

彼に悲惨な運命が待ち構えているとは、この時、誰も知らなかった。
それ以前に彼の旅を案ずる人間は、たぶん誰もいなかった。

そんな悲惨な旅人の物語が、ここに始まる。



2008年7月27日。
眼下には壮大な北海道という名の大陸が見えた。
俺はいま飛行機の中にいる。


それも窓際だ。


ピースケの旅鉄則1

 飛行機に乗るとき

    国内線は窓際に座り
    国際線は通路側に座る。



でへへへへへ、いよいよ北海道だ。
我知らず不気味な笑い声が出てしまう。


笑い続けるピースケを乗せながら、飛行機は女満別空港へ降り立った。

ここから宅配業者の営業所へ向かう。
あらかじめ送っておいたチャリと再会するのだ。

「すいませーん、大阪のピースケですけど、僕のチャリ届いてますか?」
「ああ、こちらにありますよ、どうぞ。」

私は倉庫へ入った。
チャリとの再会・・・・・・・・・。

「ぬお!」

いったいどういうことだ?


普通自転車はどんな条件であれ、車輪を下にして置くはず。
宅配業者の倉庫にあった俺のチャリはなぜかハンドルを下にしておかれていた。

「ふんぎゃ!?すいません。僕のチャリ、ハンドルが下になって置かれてませんか?」
「あ・・・・・あの大阪からこういう状態で届いたみたいですけど。」

・・・・・てことは大阪からずっとこうやって運ばれていたということか?


でも、でも、ここは北海道なのだ。
つまり、これでいいのだ。

さあ、俺の旅が始まった。

                           

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